研究概要 |
実験技術開発に関する成果 (1)顕微分光装置を作成し、10μm以下の微小散乱体積からの散乱光を効率良く集光することができた。これにより、高温高圧下でのブリュアン散乱測定の大巾な能率向上を図る見通しを得た。(2)高温高圧同時発生に関して、外部加熱方式により400℃、50kbarを実現できた。またYAGレーザーを導入することにより、高圧下で400℃以上の高温状態を得ることができた。 しかしダイアモンドアンビルセルの中の試料の正確な温度及び圧力の測定法を確立することは今後の課題である。(3)X線回折で結晶方位を決め、試料(Ti【O_2】,【Mg_2】Si【O_4】etc)の厚さを10μm以下に研磨する技術開発及びガスケット材料等の吟味を行なった。それにより、現在常温高圧下では、結晶方位の精度±2度で、圧力300kbarまでの範囲で、ブリュアン周波数の精度約1%以下で測定可能となっている。 音速測定等に関する成果 1.ZnO,ZnSの弾性定数(【C_(11)】,【C_(33)】,【C_(44)】,【C_(66)】)の圧力依存性を測定し、次のことを明らかにした。(1)ウルツ型構造は異方的であるが、モードグリュナイゼン定数γ(【C_(11)】)とγ(【C_(33)】)は同じ値となり、結合力に関して異方性がない。(2)約70kbarまでの圧力範囲で結合の性質は変らない。(3)ZnOの方がZnSよりもイオン性が強い。 2.SrTi【O_3】の【C_(11)】,【C_(44)】の弾性定数の圧力依存性を測定し、構造相転移が常温では約70kbarで起ることを見出した。これによりTi【O_6】八面体のrigidityが実験的に初めて検証できた。 3.Ti【O_2】の高圧下におけるラマンスペクトルを測定し、ルチル型構造の相転移に関する新しい知見を得た。Ti【O_2】の高圧相はα-Pb【O_2】構造であり高圧相の相転移の過程でスペクトル強度の著しい変化を見出した。詳しい解析は現在進行中である。
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