研究概要 |
1.マグネシウムけい酸塩の超高圧相平衡 MgSi【O_3】,【Mg_2】Si【O_4】の相平衡関係を26GPaまでの圧力、1900°Kまでの温度において調べた。MgSi【O_3】のイルメナイト(Il)-ペロフスカイト(Pv)転移、γ【Mg_2】Si【O_4】のPvとMgoへの分解の相境界線はそれぞれP(GPa)=29.7-0.0033T(K)およびP(GPa)=30.3-0.0035T(K)と決められた。 2.MgO-FeO-Si【O_2】系の超高圧相平衡 MgO-FeO-Si【O_2】系の相平衡関係を26GPaまでの圧力、1600℃までの温度で決定した。この結果と地震学的に得られているマントルの密度と体積弾性率を合わせて考察することにより、マントルをこの系で代表させた場合の下部マントルの構成相、化学組成を検討した。Pvと岩塩型酸化物の集合体としてのペリドタイト組成は下部マントルにおいても妥当性をもつことが明らかになった。γ相の分解は670km不連続を特徴づけ、極めて鋭い地震波速度と密度の増大をもたらすことが示された。 3.CaSi【O_3】-MgS【O_3】-【Al_2】【O_3】系の超高圧相平衡 メジャーライト(Mg)の相転移に注目して、この係の超高圧相平衡を調べた。10GPa以上から圧力の増大に従ってMjの安定域は急速に拡大して18GPaではマントル中のパイロキシン成分、ガーネット成分のほとんどがMj相にとり込まれることが示された。このMjはMgSi【O_3】Pvが安定な圧力域では除々に分解して、27GPaではMgに富むPvと未同定の二つ以上の相の集合体に分解することが明らかになった。 4.MgSi【O_3】Rの単結晶育成 上記2,3の結晶はMgに富むPvが下部マントルの最も主要な構成相であることを示している。新らしい実験技術のもとにMgSi【O_3】PVの200μサイズの良質の単結晶を得た。この結晶を用いて種々の測定が進行中。
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