研究概要 |
混晶半導体の組成のゆらぎ、成長法による違いなどを調べる目的でまず、半導体-金属界面の組成について、ToFアトム=プローブで調べた。アトム=プローブは、微少領域の組成分析が、一原子層毎に、結晶構造の観察と直接結びついてできるというユニークな手段であるため、atomic levelの情報を得ることができる。 初年度の今年は、GaAs-Pd,GaAs-Ti,SiC-Ti,Si-Ti,Si-Pdなどの系の界面について調べた。GaAsはPdと室温付近から界面反応をおこし、主としてPdがAsと置換して内部拡散する。その結果Pdは主としてGaと反応をおこし、蒸着後のアニール温度が室温から200℃の間ではPd(Gax【As_(1-x)】)という化合物、200℃付近でPd(Gay【As_(1-y)】)となり、200℃〜400℃でPdGaが安定相としてできる、アニールの時間が長くなるとPdは更に内部まで拡散し、表面からGa/PdGa/GaAsという組成で変化する。PdGa相は、600℃でも安定であり、FIMイメージより、GaAsの(100)面上にエピタキシャルに成長していると考えられる。Pdに比してTiはGaAsに対し不活性で 850℃までの加熱では界面反応をおこさない。860°〜900℃のアニールで初めてGaTiAsという化合物を形成する。この性質を利用して、Tiをマーカーとし、Pd/Ti/GaAsという蒸着層を400℃でアニールしたところ、PdはTiを通過して内部に拡散しTi/Ga(Pda【As_(1-x)】)という相を形成した。このことは、PdがAsと置換しながら内部へ拡散していることを強く裏づける。 Siの場合には 600℃前後でPdと反応し、Si/【Pd_2】Si/Siという相を形成し、Tiとは600℃前後でTi【Si_2】/Siとなる。一方、SiCの場合には、界面はTiOx/Ti/Si/SiCとなり、Cがぬけるという面白い結果が得られた。
|