研究課題/領域番号 |
60222029
|
研究種目 |
特定研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西野 種夫 大阪大学, 基礎工, 助教授 (60029452)
|
研究期間 (年度) |
1985
|
研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
|
配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1985年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
|
キーワード | 混晶半導体 / 欠陥 / ホトルミネッセンス / ヘテロ界面 / LEED / 表面EXAFS |
研究概要 |
【III】-【V】化合物混晶半導体、主としてInGaAsおよびInGaAsPにおける各種欠陥に対する分光学的評価を行なってきた。前者のInGaAs三元混晶としてはGaAsバルク結晶として注目を集めている高濃度Inを含むInGaAs混晶を、また後者の四元混晶としては可視半導体レーザ用材料として重要なGaAs基板上のLPE成長InGaAsP混晶を取り上げた。本研究では、これら混晶中および界面領域のCrを中心とする3d遷移金属不純物のホトルミネッセンス(PL)を系統的に調べ、この不純物のPLスペクトルが混晶中の欠陥に敏感であることを利用して評価研究を行なった。InGaAs混晶において、GaAsにおいて見られるCrPL線がInの導入により影響を受け、新しいCrPL線が観測された。このPL線はGaAs結晶に[110]応力を加えたときに観測されるCrPL線とよく類似しており、このことはGa位置を占めるCrに対してInはその[110]方向の第2近接格子点を占め、Crに影響を与えることによって説明される。この結果は、InGaAs混晶においてIn原子のまわりに局所的なひずみ場が存在することを示しており、その大きさを見積ると1%にもおよぶことが明らかになった。一方、InGaAsP四元混晶に対しては、GaAs基板上への一連のLPE成長を行ない、特に結晶成長が困難とされている非混和領域におけるLPE成長に対する多くの有用な知見を得ることができた。また、GaAs:Cr基板上にLPE成長したInGaAsPに対して、上記のようなCrPL線の測定を行ない、InGaAsPとGaAs基板界面領域の欠陥を調べるとともに格子不整合による界面ひずみの評価を行なった。特に界面ひずみについては、他の評価法に比べて非常に高感度に測定することができ、このような方法が半導体ヘテロ接合界面に対する新しい評価手法として有用であることを明らかにした。 本年度の4項目の課題の内3項目について次のような成果を得た。 1.MBE装置の立上げ 昨年度末に購入されたアルミ製MBE装置の立上けは当初かなり時間を要したが、真空の立上げは比較的容易で100℃ 24時間のベーキングで最終的には5×【10^(-11)】torrの真空度を得た。容器内壁のTiN被覆の壁からの放出ガスは水素ガスが殆んどで、基板(Si)を900℃で加熱した後RHEEDで清浄表面を得ることを確認した。 2.Si基板上のGeのエピタクシャル成長 Si基板の温度を550℃に保ち1ML/minおよび10ML/minの速度で夫々蒸着し、膜厚と共に変化する表面の二次元超格子構造をRHEEDで観察し、蒸着速度が遅いときはGexSit-x混晶膜が成長し(7×7)構造を持つことを始めて見出した。10ML/minの場合、表面にはGeエピタクシャル膜が成長し最終的にはC(2×8)構造となった。 3.Si/Ge系表面界面の評価 前記の方法で得た試料をLEED,AES、および角度分解EELS装置に移した後高温相における構造を解析し多くの新しい知見を得た。また装置内でSi(111)面にGeを1〜4ML蒸着し表面界面の構造および電子状態を観測しGe原子はSi表面でsubstitutional siteを占めることを明らかにした。 次年度以降は種々の条件でSi上にエピタクシャル成長したGe膜上にGaAsおよびGax【Al_(1-x)】As混晶膜を成長し、電子プローブ法で原子構造を解析すると共に目標とする多層量子井戸構造を試作する予定である。
|