研究課題/領域番号 |
60223001
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
栗原 堅三 北海道大学, 薬, 教授 (00016114)
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研究期間 (年度) |
1985
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研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1985年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | カルシウム / 味細胞 / 感度調節 / バリウム / カエル / 受容サイト / チャネルブロッカー |
研究概要 |
本年度は主として味覚応答に対するカルシウムイオンの役割を検討した。カエルの舌をカルシウムを含む溶液に順応させた後、各種の刺激物質に対する味神経応答を測定した。舌をカルシウム溶液に順応させると、塩や糖に対する応答には変化がないが、酸に対する応答が著しく増大した。また、キニーネ、カフェイン、ストリキニーネなどの苦味物質に対する応答は、ピークの大きさは変らないが、応答の持続時間が増大した。これらのカルシウムイオンの効果は、味受容膜のイオンチャネルを透過するために起こるのか、カルシウムイオンの吸着が膜構造を変えるために起こるのかどうかを検討するために、カルシウムチャネルブロッカーの効果を調べた。カドミウムイオン、コバルトイオンなどのようなカルシウムチャネルブロッカーを共存させた場合でも、カルシウムイオンによる酸応答の増大がみられた。したがって、カルシウムイオンによる酸応答の増大は、カルシウムチャネルを介して起こるのではなく、カルシウムイオンの吸着による味受容膜構造の変化によることがわかった。つぎに、カルシウムイオンと似たような作用のあることで知られているバリウムイオンの効果を調べた。カエルの舌をバリウムイオンを含む溶液に順応させておくと、酸、塩糖、苦味物質などによる応答は全て著しく増大した。バリウムイオンの濃度が高いと、バリウムによる応答増大効果は不可逆的であった。すなわち、濃いバリウム溶液に舌がさらされると、以後バリウムイオンが存在しなくても応答が増大することから、バリウムイオンがカルシウムチャネルを透過して応答が増大するという可能性は完全に否定された。以上のように、カルシウムイオンおよびバリウムイオンは味受容膜に吸着し、受容サイトの構造を変えることにより、応答の大きさおよび接続時間に影響を与えることがわかった。
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