研究概要 |
これまで我々は、いくつかの種類のホスホリパーゼ【A_2】について、必須金属イオン【Ca^(2+)】、単分子分散状およびミセル状基質アナログの結合定数のpH依存性、活性部位のHis48とP-ブロムフェナシルブロミドとの反応速度のpH依存性等を調べることにより、活性部位のミクロ環境の解析(Asp49,His48,α-アミノ基のpK値の決定など)を行って来たが、今回さらにハブ毒酵素について同様の実験を行った(日本薬学会第106年会(1986)千葉)。また、コブラ毒およびマムシ毒由来の酵素による単分子分散状基質(ジヘキサノイルレシチン)の加水分解の反応速度論を展開し、触媒作用における活性部位のHis48,α-アミノ基,Tyr52の関与を明らかにするとともに、【Ca^(2+)】による本酵素の直接的な制御の機構を明らかにした(第13回国際生化学会(1985)アムステルダム、第58回日本生化学会大会(1985)仙台、J.Biochem.98.1509-1517(1985)、日本薬学会第106年会(1986)千葉にて発表)。最近、ホスホリパーゼ【A_2】活性を【Ca^(2+)】イオン依存的に直接阻害するタンパク質の存在が明らかになりつつある。今回我々は、徳之島産ハブの血清からゲル瀘過、イオン交換、ブルーセファローズ吸着、ヒドロキシアパタイト吸着クロマトグラフィー等によりホスホリパーゼ【A_2】阻害タンパク質を分離・精製し、その基本的性質を明らかにした、このタンパク質は分子量2〜2.5万の4個のサブユニットから成る酸性タンパク質(等電点約4.5)であることがわかった(日本薬学会第106年会(1986)千葉にて発表)。現在、本タンパク質とホスホリパーゼ【A_2】との相互作用の機構を調べつつある。
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