研究概要 |
1.ompCにおける正の調節の機構 ompCプロモーターのPribnow boxはGAGAATである。ompC-lacZハイブリド遺伝子について、Pribnow boxの第一番目の塩基を、site-directed変異によってGからTに変えた時のプロモーター活性の変化を、β-ガラクトシダーゼ活性を測定することにより解析した。 野生型ompCプロモーターよりのβ-ガラクトシダーゼ発現はOmpR依存性であった。ompCプロモーターの上流を除去すると活性は全く発現されなくなった。一方、Pribnow boxの最初のGをTに変えるとプロモーター上流部の有無、OmpRタンパク質の有無にかかわらず高い活性発現がみられた。これらの結果は正の調節に関する我々の仮説を支持するものであった。 2.OmpRタンパク質の構造と機能 ompF,ompC遺伝子の発現は培地浸透圧によってそれぞれ逆方向に調節されている(osmoregulation)。我々はompF,ompC遺伝子の正の調節因子であるOmpRタンパク質について、5つのompR変異株を単離し、変異部位を同定した。その結果、OmpRタンパク質のC末端側における3つの変異(ompR1,ompR2,ompR20)によって、いずれの場合にもOmpCタンパク質が合成されないことから、OmpRタンパク質のC末端側には、ompCの発現に必須のドメインが存在していると考えられた。また、N末端側の2つの変異(ompR3,ompR4)によって、低浸透圧下でompCの発現が強くなっていることから、OmpRタンパク質のN末端側には、ompCの発現を調節するドメインが存在していると測想された。
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