研究課題/領域番号 |
60226008
|
研究種目 |
特定研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
木村 宏 滋賀医科大学, 医, 助教授 (40079736)
|
研究期間 (年度) |
1985
|
研究課題ステータス |
完了 (1985年度)
|
配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1985年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
|
キーワード | γ-アミノ酪酸 / 免疫組織化学 / GABA神経終末 / GABA受容体 / 電顕観察 |
研究概要 |
γ-アミノ酪酸(GABA)作動性神経の形態学的研究は、これまでその代謝酵素の局在を指標として行われてきた。このうち合成酵素GADの免疫組織化学法は一般にGAD含有細胞体が染めにくく、また分解酵素GABA-Tはその検出の特異性に問題があった。最近我々はウシ血清アルブミンに結合したGABAを抗原として、ウサギを免疫し抗血清を得た。しかし、既に報告されているように、このような抗体は多種のアミノ酸と高い交叉性を示すため、新しく開発したアフィニティクロマトグラフィにより抗体を精製し、GABA特異抗体の分離・精製を行った。 この精製抗体を用いて、ラット脳を免疫組織化学法によって染色した結果、光顕のみならず電顕レベルでGABA神経終末の観察が可能となり、それらの対向する受容体構造の同定が可能となった。たとえば、大脳皮質、帯状回皮質および梨状葉皮質を例にとり、その電顕観察の結果を述べる。GABA陽性の免疫反応産物は細胞質内に微細な顆粒として特別な小器官に局在することなく分布する。またGABA陽性細胞の核は染まるものが多いが陰性のものもある。神経終末部では、反応産物はシナプス小胞の内にも、さらにそれをとり巻く細胞質にも密度高く観察される。このような終末は非常に豊富に観察され、シナプスが明瞭に認められる場合が多い。軸索-細胞体シナプスをもつGABA受容性細胞も光顕像の印象と一致して証明された。これらGABA受容性細胞について詳細に解析した結果、GABA終末がシナプスを作る部位は樹状突起の基幹部あるいは軸索小丘などのように細胞体に近接した部位に最も豊富で、次いで細胞体に終わるものが多い。しかし樹状突起の遠位部と直接シナプスを形成するものは極めて稀である。いわゆる軸索-軸索シナプスを形成するものも多数認められたが、これはシナプス前抑制に属すると考えられた。特徴的所見は、GABA終末の形成するシナプスは全てGray【II】型の対称形であるという従来の概念と合致した。
|