研究概要 |
1.我国の保健婦養成教育は, 昭和16年から開始され, 教育内容は学校養成所指定規則により定められている. この基準も各時代の国民の健康問題に即応するように改訂が繰り返えされている. この変遷を調べ, 高齢化社会に対応させていく要件を検討した. 次いで, 現行の一ヵ年の養成過程49校について, 老人保健と老人看護の授業科目・実習の実施状況などをしらべた. 50年代後半から, これらの教育時間数は急速に増えていた. しかし, これは, 実習などで教材として老人をとりあげる機会が増加していることが中心で, 教育内容については早急に体系化していかなくてはならない. 2.高齢者の健康問題に対する支援活動は, 高齢者の家庭生活や地域生活に, 深く入り込んだかかわりと働きかけによるべきことは明らかである. それらの活動に必要な能力育成のためには, 公家衛生看護の方法の原則を具体的な活動事例で確実に伝えるべきと考え, 家族保健指導の基本原則が実践できる実習の手引きを開発し某校の48名の地区実習に試用し, 成果を検証した. 3.老人保健法施行後の保健婦及びその活動内容の変化を調べた. 活動内容としては, 要援助高齢者などの在宅ケアばかりでなく, 地区での健康相談や健康教育, 等はば広い活動をするようになっていることを確認した. さらに近年では地域リハビリテイションにおいては, 地区状況に応じた多様な方法を取りいれた活動が増えている. また, 保健婦の構成をみると, 法施行後新規採用の数が急速に増えたため, 若年化し, 20歳代25%, 30歳代31%となり, 系統的な現任教育・継続教育が必須となっていることを確認した.
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