研究分担者 |
北里 洋 静岡大学, 理学部, 助教授 (00115445)
加藤 義久 東海大学, 海洋学部, 講師 (00152752)
木宮 一邦 静岡大学, 教育学部, 教授 (20022212)
中井 信之 名古屋大学, 理学部, 教授 (40022529)
和田 秀樹 静岡大学, 理学部, 助手 (20126791)
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研究概要 |
浜名湖は何時頃誕生し, そしてどのような変遷をたどって現在に至っているのであろうか. このような浜名湖の生いたちを地史的に明らかにすることは, 古海水準の変動や古気候変動を究明することにもつながる問題である. 本総研では湖内に4本のボーリング掘削を実施すると共に, 湖の総合的な研究を行った. 各ボーリングは湖基盤に達するまで全コアーの採取に務めた. (1)本湖最深部(水深12m)地点で湖底より16.75m掘削, 最下部の年代は約7,000年BPであった. (H1) (2)H1の南方約2km(水深5m)地点では41.72mまで掘削され, 約10,000年BPの年代測定値を得た. (H2) (3)H2の更に南方4.5km(水深5m)地点では50.45mまで掘削され, 同じく約10,000年BPの最古年代を得た. (H3) (4)庄内湖奥(水深3m)地点では24.50m掘削され, 最下部の年代は約8,000年BPであった. (H4) 本総研で湖底ボーリングを試みるまで, 浜名湖の生成史は全く不明であった. 今回, コア中の小量の貝と木片を用いて加速器質量分析計により14C年代を測定し, 初めて浜名湖の堆積は約10,000年BPよりはじまったことが明らかにされた. また, Oki(隠岐:9,300年BP), K-Ah(鬼界アカホヤ:6,300年BP), KgP(カワゴ平パミス:3,250±70年BP), Os(大沢スコリア:3,040±50年BP)の火山灰層も確認され, 4地点における堆積物の詳しい年代対比が可能となった. 各コアは分割され, 堆積物とその中に含まれる微化石等の分析によって, 湖の変遷史が明らかにされようとしている. 浜名湖はおおよそ, 10,000〜8,500年BPに淡水湖として誕生し, 海水準の上昇に伴って汽水〜海水化し, 7,000年BP頃の最高海水準期直前に天竜川扇状地の砂により急速に埋めたてられ, 湖奥は淡水化したと結論される.
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