研究分担者 |
坂田 功 九州大学, 農学部, 教授 (10038169)
川波 剛毅 九州大学, 農学部, 教授 (20110520)
筬島 豊 九州大学, 農学部, 教授 (00038184)
和田 光史 九州大学, 農学部, 教授 (90038159)
大村 武 九州大学, 農学部, 教授 (40038170)
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研究概要 |
1.本研究では, 農業立地学的視点に立って, わが国の食糧基地として位置付けられている九州地方を研究対象として, 食糧資源の開発と利用についての発展的可能性を追求し, 農業成立要因を科学の側面から明らかにした. 2.研究対象は農学の広い分野にまたがるので, 全体を三つの部会に分け, 各部会をさらにそれぞれ二つの研究班に分けて研究調査を進めた. 3.食糧生産基盤部会では, 農業生産基盤の地域的特徴を把握して, 地域性を環境条件から類型化し, 環境改善の方策を検討した. 食糧生産技術開発部会では, 作物・蓄種・魚種を適作目として導入するための新品種・新素材の開発並びに生産技術の評価を行い, 多彩な農蓄水産物の収量を潜在的に向上させることを検討した. 生産物加工流通部会では, 加工・貯蔵・流通技術の改善を試み, 適地拡大の可能性を追求した. 4.その結果, 西南暖地は農蓄水産業の立地として, 熱・光・水資源が豊富で高い第一次生産力が期待でき, 土壌資源では地力向上の方策が, また, 農地は汎用化と保全対応が必要で, 遠隔地という立地を生かす農法と経営によって農業が成立すると評価した. 以上の生産基盤の上に, 水田作・畑作物・野菜・果樹栽培, 家畜飼養など個別技術の検討を進め, 農蓄産業の改善技術を, また水産業では九州とその近隣の浅海域の餌料増大の可能性を明らかにした. さらに収穫後の農蓄水産物を高品質品として長期安定供給, 流通時の品質低下防止, 流通組織・システム面での対応技術を明らかにした. 5.西南暖地における農蓄水産業の展開課題は, 他産業の将来像と無関係には考えられないが, 農業技術の側面に絞ってみれば, 立地の評価と改善技術の中に示された個別技術を積み重ね, 地域性を生かして総合することにあり, その結果は農業生産構造を強化し, 潜在生産力を高めることになると総括した.
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