研究分担者 |
町田 章 奈良国立文化財研究所, 平城宮跡田掘調査部, 部長 (90000471)
藤原 棋多夫 広島大学, 総合科学部, 助教授 (90090521)
竹田 満州夫 (竹田 満州雄) 東邦大学, 理学部, 教授 (80011633)
小林 孝彰 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助教授 (90005984)
一国 雅己 (一國 雅巳) 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (20005804)
門倉 武夫 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 主任研究官 (10000457)
池本 勲 東京都立大学, 理学部, 教授 (00011601)
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研究概要 |
1.海底埋蔵環境について. 北海道江差町の開陽丸遺物発掘現場で海底の大型船体に対する海虫の食害対策も検討した. 船体をビニールシートで蔽った区域で, 前年度に引き続きシート内外の溶存酸素濃度, 銅, 鉄イオンおよび硫化水素濃度等の環境因子の測定を行った. シート内部では, 溶存酸素は検出されず酸穴状態で還元的零囲気を示し, 銅イオンは外部の7倍(7.34μg/l)全鉄は10倍(51.7μg/l)であり, 流化水素もFPDーGCにより穴きな単独ピークとして検出された. 20ヶ月経過して前年度に比し格段の還元的零囲気であることが認められた. 2,青銅製品の成分元素の移動.埋蔵環境において, 銅, 錫, 鉛の各成分が溶出, 移動し, 鉄器等の錆層内に沈着, 濃縮していることが前年度に確認されたが, 本年度も銅製遺物の金属成分元素の挙動を知るため, 発掘時に遺物を採り上げた後の遺物の型のついた土層を切り取り遺物からの垂直方向, 水平方向の距離と成分元素の存在量との関連と分布を検討した. 試料として入手できた土層は, 徳島市・名東遺跡(銅鐸), 福岡市・若八幡宮遺跡(銅鏡)春日市・須久岡本遺跡(銅剣), 田川市・下伊田遺跡(銅鋤), 宗像市・久原遺跡(銅矛), 浜松市・都田前原遺跡(銅鐸)等である. 分析方法は, 試料の大きさ, 形状により, EPMA, 微小部蛍光x線分布(FX)とICPを使い分け, 小刑試料については, 前者を, ある程度の大きさで遺物跡から数cmの間隔でサンプリングできるものでは, ICPで精密測定を行った. 対象元素は, 蛍光X線分析では銅, 鉛を定量しているが前年度と同様な粘土質工壌でも移動距離が異なる傾向もあり, 埋蔵条件の違いのためか前者の分析方法で移動距離について結論付けることは困難と思われた. ICPについては, 銅, 錫, 鉛と主として他の多くの成分元素も対象として土質の相違に着目しデータの整理中である.
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