研究概要 |
1.今年度は当該研究の最終年度であるため,これまでの資史料の探策・収集整理,証言収録等の基礎作業をもとに,各研究分担者が各々のテーマに基づく研究成果のまとめ,論文草稿の執筆に取り組んだ. また本研究の成果を学術界のみならず広く社会一般に知らしめるため,出版社より公刊することをめざし,その凖備・支渉を始めた. 従って本研究の中心的活動である「戦後宗教史研究会」は,刊行本の 全体構成と基本的視座の確定,各分担者による執筆内容の相互調整,及び執筆草稿の発表と相互討議等を主たる目的として, 年4回開催した. また,公刊については種々交渉の末,(株)未来社より昭和63年度内に出版することが決定した. 2.成果刊行は全二巻となる予定であるが,それは次のような知見に基づく. 即ち,占領が日本宗教に及ぼした影響を全体として明らかにするには,連合国及び占領軍による外からの強制的改革という側面と,日本の宗教一般・諸宗教にとって戦争・敗戦・占領はいかなる意味を有していたのかという内側からとの解明が必要であり,両者をそれぞれの巻のテーマとして追求すべキである. 占領が戦争・敗戦の延長にある強制という性格をもつとともに,この占領によって自由な宗教的活動が可能になった社会を生み出したのも事実であり,その両義性を明らかにしていかなければならない,というものである. 3.資史料の収集整理に関しては,昭和30年代に至る日本政府・宗教団体関連史料約400点を筑波大学において整理し,目録化した. CIE文書は昨年度完成した目録のデータベースをもとに,更に各目録内の収録文書情報をデータベース化する作業を創価大学電算機で引き続き行った. しかし,約1万点にのぼる文書があることが判明し, 今後もこの作業を継続して行っていく必要が生じた.
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