研究課題/領域番号 |
60301012
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
心理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鹿取 広人 東大, 教養部, 教授 (80012300)
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研究分担者 |
長谷川 寿一 東京大学, 教養学部, 助手 (30172894)
山上 精次 専修大学, 文学部, 助教授 (40111439)
東條 正成 専修大学, 文学部, 教授 (40095980)
河内 十郎 東京大学, 教養学部, 助教授 (30083710)
鳥居 修晃 東京大学, 教養学部, 教授 (50015012)
FUJII Minoru Kansai Univ., Prof.
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
9,900千円 (直接経費: 9,900千円)
1986年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
1985年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
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キーワード | 視覚的認知 / 開眼受術者 / 自閉症 / 言語発達遅滞 / 脳損傷者 / 信号系活動 / 相貌認知 / 視運動協応 |
研究概要 |
本研究は、視覚認知機能の発生・成立の機序について明らかにするために各種障害事例に対する働きかけを通して、視覚的な入力情報を「対ひと」および「対もの」とのかかわりのもとに、信号化しつつ分化・統合していく過程を分析することを目的とした。そこで本研究では、1.視覚認知機能が初期的状況にとどまる言語発達遅滞児や自閉症児、2.開眼受術・弱視者さらに3.視覚認知機能の崩壊をきたしている脳損傷者など、各種の障害事例について、それらの視覚認知過程の様相を把握し、かつそれらの事例における療育的働きかけによる当該機能の発達・回復の過程を分析することによって視覚認知機能の発生機序とその際の記号活動との関連を明らかにしようとした。その結果、1.言語発達遅滞児および自閉症児若干名において、(1)初期的な視覚認知行動が当該児の動機づけに依存すること、(2)事物の認知では当該児とのコミュニケーション場面で感覚情報を信号化する状況が重要すこと、(3)視運動協応の学習が2次元的図形弁別成立に大きな役割をはたすこと,などが明らかにされた。2.開眼受術・弱視者(児)若干名において、人の顔やその表情の認知が十分成立するまでには、まず(1)色彩・形態の弁別の機能が形成されること、それに引き続いて、(2)種々の事物(たとえば茶ワン、時計、ハサミなど)の識別の機能が成立すること、が前提条件として必要であることが示された。3.脳損傷者若干名において、(1)非右利き失語と右利き交叉性失語の2種の失語群の重症度・失語タイプ・予後を分析し、右利き左半損傷の失語に比し予後がよく特異な臨床像を示し、従来と同様の結果を得た。(2)右後頭葉病変によって、熟知した顔の失認および熟知した建物の失認をもつ脳損傷者の認知機能を分析した結果、その発現機序がたんなる認知的側面の障害というよりむしろ、相貌の記億障害ないし相貌認知と記憶との分離である。
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