研究分担者 |
伊藤 るり 明治学院大学, 国際学部, 専任講師 (80184703)
栗原 尚子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (80017623)
藤田 弘夫 慶応義塾大学, 医学部, 助教授 (60156875)
三橋 利光 名古屋聖霊短期大学, 助教授 (00157554)
梶田 孝道 津田塾大学, 学芸学部, 助教授 (10133357)
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研究概要 |
本研究では, 次のヨーロッパ諸地域について, 地域問題の現状を明らかにした. スペインのカタルニアとバスク. フランスのオクシタニーとブルターニュ. ベルギーのフランドルとワロニー. スペインの二つの地方については, 中央政府に対抗するナショナルな意識の展開と言語運動の特徴を明らかにし, フランスの二地方については, 経済発展の立ち遅れの原因を解明し, 文化的独自性の要求がそれとどう絡み合っているかを検討した. ベルギーの場合, 二つの地方を対立させている言語問題の展開をたどり, その根底に〈中心-周辺〉関係の逆転があることを見出した. これらの問題を扱うのに, 経済的低開発を説明するための〈プロト工業化〉理論, 及び言語紛争を分析するためのダイグロシア(二言語兼用)の理論が必要であったので, それらの理論的検討をも行なった. 以上にもとづき, ヨーロッパの地域問題と地域運動の諸タイプの設定をこころみ, 次の三つのタイプを打ち立てることができた. (1)経済的地域主義, (2)テクノクラート的地域主義, (3)ナショナリスト的地域主義. なお, これらヨーロッパの状況との比較の対象として, ボリビアおよびマレーシアの地域問題を考察した. その結果, 「国民」(nation)の観念の未成立のこれらの両国にくらべ, ヨーロッパ諸国における紛争はより制度化されていることがみてとれた.
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