研究課題/領域番号 |
60301023
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
村山 研一 信大, 人文学部, 助教授 (80115378)
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研究分担者 |
川喜多 喬 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (30106736)
国崎 敬一 松山商科大学, 文学部, 助教授 (90131721)
高田 滋 東北女子大学, 家政学部, 助教授 (50137478)
大内 雅利 明治薬科大学, 薬学部, 助教授 (60147915)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1986年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1985年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 地域社会 / 産業構造の変動 / 地域産業 / 農村工業化 / 企業間ネットワーク |
研究概要 |
1.石油ショック以降の日本の産業構造の転換に対して、地方の産業がどのように対応してきたか、この問題を解明することが本研究の課題である。我々はその一例として地方に立地している電子産業を取り上げ、調査地として長野県の上伊那(特に駒ケ根市)と山形県の米沢の二箇所を実態調査し、工業化の過程と現状を比較した。 2.両地域は第二次大戦下の工場疎開が電機工業立地の端緒となり、高度成長初期にその集積をみたという点で共通性を持っている。また、成長の条件は地方において豊富に存在する低賃金労働力であった。 3.このような条件は石油ショックおよびG5以降の円高不況によって完全に崩壊した。それとともに、地域内の生産構造も大きく変化した。 4.駒ケ根の場合、親企業が農村部に下請工場を作り出し、いわゆる「納屋工場」の形成がみられた。しかしこのような形態は石油ショック以降衰退へと向い、これに代って少数の実力ある独立企業が産み出された。これに対し米沢の場合、高度成長期に比較的規模の大きい第一次下請企業層が形成され、石油ショック以降はこの層を中心にしてネットワーク型の構造が作られて行った。さらに米沢においては、このような変化に対して行政の果した役割は大きい。 5.現状を比較した場合、駒ケ根においては一部の小企業の技術水準は極めて高いが、全体としては低い。米沢はこれと逆である。 6.一般にこれまでのような、低賃金労働力を誘因とした地方工業化のシナリオは、すでに破綻したと言って良い。地方の工業においても、知織集約化・技術集約化を進めることが重要な課題となろう。地域の産業構造のレベルアップを考える場合、各企業の努力に頼るだけでは限界がある。米沢のように、政策的に地域内に企業間ネットワークを作り出すことは、地域の産業そのものをレベルアップし、技術集約化の方向に変えてゆく一つの手段となるであろう。
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