研究分担者 |
大城 英名 国立特殊教育研究所, 視覚障害教育研究部, 研究員 (80185256)
神 常雄 岩手大学, 教育学部, 講師 (30113856)
天野 幸子 女子栄養大学, 助教授 (60076172)
綿巻 徹 愛知県コロニー, 発達障害研究所・治療学部, 研究員 (70142172)
二宮 昭 愛知県コロニー, 発達障害研究所・能力開発部, 研究員 (60132924)
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研究概要 |
昭和60年度からの実験資料をまとめ、研究報告書「精神発達遅滞児の言語教育プログラムの開発に関する実験教育的研究」を公刊した。得られた知見は以下のとおりである。 1 シンボル機能・語獲得プログラム:大人との共同的,対象的行為,分類・概括行為,非言語的コミュニケーション行為の組織を中心に2種の異なるプログラムで、語未獲得な重度発達遅滞児2名に個別訓練を行ったが、何れも、能動的シンボル行為を形成するに至らなかったが、語の受動的な理解を形成することに効果したことが示された。 2 活動的語彙、言語的コミュニケーション教育プログラム:積極的な伝達行動の連鎖からなる買物行動,対象的行為,擬声語を用いた遂行発話の形成を中核としたプログラムで活動的語彙,伝達能力に欠く自閉症児,重度ダウン症児5名を訓練した結果、全員にコミュニケーション行動の改善が認められ、特にその内1名には、活動的なシンボル機能が形成された。活動の中でのjoint attention,発話行動の形成が効果的に作用していることが示された。 3 擬問詞を用いる疑問文の産出・理解プログラム:先行の訓練で基本的な動詞述語構文を習得した5名のダウン症児に対し、「誰が」「何を」「どうする」「誰に」「何で」「どこで」の疑問詞を表すシンボルマーク、疑問文の線形図式を持つ図版等を用いて、文の産出・応答を組織し、内面化させる方法で訓練した結果、多くの回数を要するが、この方法で効果的に教育可能であることが示された。 4 名詞述語、形容詞の2元的結合教育プログラム:動詞述語構文プログラムで訓練を終えたダウン症児2名に対し、分類,見本合わせによる対象の特質の抽象,抽象した特質のシンボルマーク,語による一般化,文の線形図式による言語的表現を中核とするプログラムで訓練した結果、効果的に教育できることが明らかになった。
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