研究分担者 |
赤松 徹真 龍谷大学, 文学部, 助教授 (30167829)
高石 史人 龍谷大学, 文学部, 助教授 (40123781)
福嶋 寛隆 龍谷大学, 文学部, 教授 (30081178)
中尾 〓 (中尾 堯) 立正大学, 文学部, 教授 (70070521)
伊藤 唯真 仏教大学, 文学部, 教授 (50066396)
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研究概要 |
明治仏教の主たる実態が教団(宗派)にあると認識する立場から, 本研究課題「明治仏教の教団史的研究」は, 明治期の仏教教団の諸活動を具体的に明らかにするべく, 第一に基礎的な資料調査収集をおこない, その整理を逐次おこなってきた. 収集資料は, 明治政府との関係上意味をもつ政教関係資料-太政類典・大隈文書・三条家文書・神道一也真宗本願寺派・真宗大谷派や曹洞宗資料などが比較的多く, その他社会事業関係資料も収集した. 収集資料の詳細な分析・検討に関しては, なお課題を多く残すこととなり今後の研究にゆだねなければならないが, 明治期の仏教教団は, 多くの民衆を基盤として成立していたがゆえに, 各教団の例えば学校教育制度や貧民救済の社会事業などは, 社会的に重要な意味をもつものであった. 教団の機構改革や積極的な西欧文明の摂取, 教学の刷新などは, 単に教団内のこととしてではなく, 日本の近代化を担い, それを推進する役割をはたすものであったといえよう. 従来ともすれば, 仏教教団は封建的で, 日本の近代化とは関わらない位置を占めるものと理解されがちであったが, そのような認識が歴史的具体的に妥当性をもちえないことは, 本研究の一端から明らかになったのである. 今後, 日本の近代化は, 仏教教団の諸活動の果した役割・機能を見直すことを通して, その内実を明らかにする必要がある. 本研究は, 3ケ年の研究期間のなかで残した課題-収集資料の一層の分析検討やより多くの資料調査収集-を今後とも解決することにより, 詳細かつ実証的成果を生みだすことが出来る. 明治仏教に関する学際的研究の第一歩がようやくはじまったといえよう.
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