研究分担者 |
西村 健一郎 京都大学, 教養部, 助教授 (00025157)
田端 博邦 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (10107500)
萬井 隆令 龍谷大学, 法学部, 教授 (40066717)
西谷 敏 大阪市立大学, 法学部, 教授 (70047314)
前田 達男 金沢大学, 法学部, 教授 (80031847)
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研究概要 |
1 派遣労働,パート労働,女子雇用,障害者,高齢者雇用,労働組合の行う労働者供給事業等について実態調査を行った。またME化が雇用に及ぼす影響と職業訓練についても企業,組合,行政機関等を相手に調査を行った。 2 以上の実態調査を参考に、パート労働,派遣労働,女子雇用,障害者・高齢者雇用,ME化と雇用保障,職業訓練の各領域に生じている問題点の検討を行った。 3 以上の調査・研究を基礎としてわが国の雇用保障法制全般について検討を加えた。そこでは、およそ次のようなことが確認された。 (1)ME革命や経済のサービス化という社会経済状況の著しい変化は、雇用保障法制ばかりでなく労働法全体に強烈なインパクトを与えている。 (2)政府の雇用政策の重点は完全雇用政策を基本としながらも、高齢者雇用,女子雇用という各論的対応を余儀なくされてきた。また、近年においては労働力需要のミスマッチへの対応が急務となっている。この点職業訓練法制の再検討が迫られていると言える。 (3)企業内部での雇用の確保が産業構造の転換という状況のもとでうまく機能しなくなるなかで、派遣労働,パート労働などの不安定就労が非常な勢いで増大しており、行政もこれを積極的に認知するという対応を示している。しかし、実態調査によればかかる不安定就労の労働条件は劣悪であり、今後はより徹底した労働条件整備が必要である。 4 最近の貿易摩擦・円高問題は事態をさらに複雑にしている。今後は、これらの問題に対応するためマクロ的な雇用政策を再検討するとともに、労働権保障という観点にたった雇用保障法の体系を理論的に充実させることが課題である。
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