研究分担者 |
野村 正實 岡山大学, 経済学部, 助教授 (20112138)
馬渡 尚憲 東北大学, 経済学部, 教授 (60004206)
杉本 典之 東北大学, 経済学部, 教授 (30004203)
高木 郁郎 (高木 郁朗) 日本女子大学, 家政学部, 教授 (50107174)
吉田 震太郎 東北大学, 経済学部, 教授 (00004177)
YOSHIDA Shintaro Tohoku University, Faculty of Economics, Professor
|
研究概要 |
本研究は, 電機産業の一臣大企業を対象とする実態調査により, ME技術の導入が企業経営と労使関係にどのような影響を与え, それをめぐるプロセスがいかなる特徴と問題を孕んでいるかを分析した. 主な分析結果は以下のとおりである. 1.投資決定の過程:投資の意志決定は, 大きく言って企業の経営戦略に依存する. 長期の経営戦略をにらみながら, 実際の投資決定は投資利益率を主たる指標とする収益性の観点にてらし判定される. ME化投資もこの規準にもとづき, 技術との最適な組み合わせで選択される. 自動化の主たる狙いは原価の低減にあり, トップダウン方式(工場レベル)でなされるが, 生産ライン立ち上がり前後の改善には現場労働者も寄与している. 2.ME化の効果と今後の方向:生産のME化は, 原価低減の手段であるばかりでなく, 近年の市場動向の変化-消費者ニーズの多様化, 製品のライフサイクルの短縮化, 高品質, 高機能志向-にも適合的なものである. 生産のME化により著しい省力化, 納期の短縮化, 品質の高度化, 柔軟性の増大等の効果が実現した. 製造工程の自動化が進む一方で, 開発部門を中心とする間接部門の要員は相対的に増大し, 今後は後者の効率化をも含むCIM化が強力に推進される方向にある. ソフトウェア企業は急成長の過程にあるが, ここでも新たな生産方向(たとえばプログラムの部品化)による効率化が進められている. 3.労使関係:省力化にも拘らず,人員の削減は正規従業員に関してはみられなかった. 雇用の調整は主に配転によって行われ, また下請企業が内製化によって影響をうけた. 労組がME化を受入れた理由としては, 組合員の雇用が保障されたことが大きい. 職務給の属人化もそれに寄与したが, 今後の事情如何では問題を孕むものである.
|