研究分担者 |
酒井 邦雄 愛知学院大学, 商学部, 助教授 (30192082)
渡辺 悌爾 三重大学, 人文学部, 教授 (20097653)
梅下 隆芳 愛知教育大学, 法経社教室, 助教授 (50024097)
山田 健治 岐阜経済大学, 経済学部, 教授 (40110994)
大西 高明 名古屋学院大学, 経済学部, 助教授 (60160561)
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研究概要 |
本研究は, 需要と供給の調整について市場の規模の拡大が経済発展, 縮小は経済の停滞という意味での需給近接性に注目した. 技術進歩を内包するという条件, 経済のソフト化という条件, 経済の国際化を超えるグローバル性という条件の下で市場形成とその拡大, 縮小の問題を再検討するのが目的であった. それ故, 需給近接性の理論は, 市場形成への前段階の研究に重要性があり, それが総合的な政策課題である. まず, 技術進歩を内包する場合, 如何にして需要集団, 供給集団が形成されるかという潜在的発生源からの研究が必要となる. その上で, 両集団がいかなる条件の下で接近して行くのか分析せねばならぬ. 酒井氏の研究は社会主義的計画, 統制の根拠になる圧倒的供給不足, 過剰が存在する経済を市場メカニズムに戻すには, 如何なる近接性の条件が必要かを問うている. 山田氏の研究は資源の賦存と需要の賦存を市場的調整に持ち込むための条件を明らかにしている. 渡辺氏の研究は, 技術進歩, 近接性達成のために如何なる企業組織, 産業組織が近接性調整の過程で生じるかを明らかにしている. さて, 今回のプロジェクトでは, 特に逆転現象に注目した. 逆転現象とは, 市場の拡大縮小における近接性への調整アプローチが需要側, 供給側何れから行なわれるかが時とともに逆転する現象をいう. 市場を超える需給近接性の調整について, 市場, 非市場選択の社会的選択理論がある. 梅下氏は, 新しい条件の下でこの点を批判の対象とした. 逆転の最も顕著な例として職住近接性のそれがある. 農業, 工業, 知識情報社会への移行に従い, 住から職, 職から住への選択の優先が反復逆転した. この結果が, 都市や地域の発展と大きく関わりをもった. これは藤井の研究に明らかである. 最後に, 本研究が市場理論を超える経済の需給調整の近接性分析を通じて, 経済理論に大きな地平を拓きつつある事を忘れるべきではなかろう.
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