研究概要 |
本研究では、さまざまな国際経済紛争、すなわち一般に経済摩擦,貿易摩擦投資紛争,技術紛争,経営摩擦,文化摩擦と呼称されている経済現象の、発生原因,進展プロセス,法制上の課題,文化との関わり合いなどについて、できる限り広い視野から学際的に考究した。本研究ではまた、国際経済社会における主要な経済制度の一つであり、アクターである多国籍企業を主軸にとらえて、それらが経済紛争の発生,進展,解決とどのように関わり合っているか、またどのような戦略的対応行動を示すかを明察した。研究成果の一部(8篇)を雑誌『世界経済評論』(1986年10月号〜1987年3月号)に連載形式で発表した。研究成果は、最終的に『国際経済紛争と多国籍企業』(晃洋書房刊1987年4月)なる書物として公刊した。同書の構成は以下の通りである。推せんの言葉(入江猪太郎),まえがき,第1章国際経済紛争の分析視角(江夏健一),第2章国際紛争の動態分析(中島潤),第3章経済紛争の政治経済学(池本清),第4章経済紛争と国際産業調整(鈴木多加史),第5章日米貿易不均衡と日米貿易摩擦(萩野典宏),第6章貿易摩擦の構造分析(竹田志郎),第7章国際経済紛争と市場参入戦略(藤沢武史),第8章日米欧経済摩擦の法律問題(小原喜雄),第9章通商摩擦要因と取引慣行(小林規威),第10章経済ナショナリズムと多国籍企業(有澤孝義),第11章国際技術紛争と多国籍企業(斎藤優),第12章多国籍企業に係る投資紛争(桜井雅夫),第13章多国籍企業の危機情報管理(首藤信彦),第14章国際紛争と多国籍企業の海外安全(大泉光一),第15章文化と経済摩擦(岡田仁孝),第16章国際経営摩擦と日本的経営(安室憲一),補章多国籍企業の理論的考察(長谷川信次)。われわれは、本研究成果が類似的諸研究とは異なり学際的かつ多面的であり、ユニークな存在であると考えるものである。
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