研究分担者 |
丑山 優 九大, 経済学部, 助教授 (40108626)
岡橋 英夫 北九大, 商学部, 助教授 (90047712)
岡本 悳也 熊本商大, 経済学部, 教授 (60019271)
大庭 清司 野村総研, 国際開発部, 部長
高須賀 義博 一橋大, 経済研究所, 教授 (70017656)
IKUKAWA Satoshi Associate Professor, Faculty of Economics, Saga University
NOSHITA Yasutoshi Lecturer, Faculty of Politics and Economics, Kokushikan Yniversity
SAKAMOTO Tadashi Professor, Faculty of Commerce, Kumamoto University of Commerce
HARADA Yoshinori Lecturer, Faculty of Economics, Tohoku Gakuin University
野下 保利 国土館大学, 政治経済学部, 講師 (10150393)
川波 洋一 九州大学, 経済学部, 助教授 (80150390)
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研究概要 |
1980年代超大型合併の盛行によって時論的に, また個別企業のリストラクチュアリング(再構成)の手段として論じられている企業合併・買収を, 第1に, 歴史的には世紀転換期の第1波, 1920年代の第2波, 1960年代の第3波(コングロマリット合併)と対比し, 第2に各々の金融過程に重点をおいて分析することに努力を集中した. 米・独の鉄鋼業の集中を通じてみた第1波の特徴は, 生産と流通の両面における独占度の増大であり, そして主に株式交換の方式を通じて行われた合併財務政策面では株式の水増し発行, 過大資本化の露呈が顕著であった. 株式市場を支える証券金融システムの未成熟そして製品販売面での実現困難という私的独占形成期の特質が検出された. 1920年代の耐久消費財(自動車)産業, 公益事業(電力)における寡占体制の形成は, 最終消費者に販売システムを伸長させ, 実現限界を大きく拡張した. 金融システムも商業銀行のネットワークの形成, 機関投資家の成長, 公衆への証券リティル組織の確立により証券金融をスムースに進行させた. 以上の第1波, 第2波に比べると, 第2次大戦後のコングロマリット合併(第3波), 超大型合併(第4波)では, 異業種間の合併が支配的で, 生産・流通面でシェア, 独占度上昇という状況は検出しがたい. むしろ全体として企業財務面でのリストラクチュアリングに狙いが設定されている. 特に第4波における敵対的公開買付, LBO, 買収企業の分割売却ではその点が顕著である. そこには再生産からのキャッシュ・フローの枯渇を金融操作によって代替・補填しようとする傾向が目立つ. この研究を通じて, 理論的には, 合併・買収問題を, 「企業の資本化」理論を梃子に擬制資本論の内容の豊富化, そして「貨幣資本と現実資本」の理論の現代経済分析トゥールとしての有用性を確認することができた.
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