研究概要 |
解析的方法, 数値的方法, 実験的方法を用いた総合的な研究により, 流体運動の示す多様な非線形挙動についての理解を大きく進めることができた. 1.解析的研究 電磁場中の流体の運動方程式, 一様乱流の新しい近似方程式, 完全流体におけるヴォートンに対するモデル方程式, 浅水波に対するエッジレアー理論, 混相流等において, 流体物理現象のある種の特徴をよく表現するモデル方程式が導出された. これらのモデル方程式は, 解析的あるいは数値的に解かれ, 流体物理現象あるいは実験的結果と比べて, かなり一致することがわかった. また, 導出されたモデル方程式のうちいくつかは, カオス的振舞いを示すものもあり, その挙動の理解に一歩近づいた. 2.数値的研究 各種の物理的考察に基き, 高レイノルズ数流れや自由表面をもつ流れについての新しい数値シミュレーション手法により, 円柱, 角柱, 翼形, 球, 丘陵地をすぎる流れ, 平行平板間や管内の流れ, 乱流混合層や境界層での流れ, 液体ジェットや液滴の変形などにおける非線形挙動が明らかになった. また各種の数値的手法を, 渦領域の運動や相互作用, 熱対流に付随したパターンの変化, 乱流ダイナモ効果, 慣性核融合におけるパワーの供給, 気体遠心分離機内の流れ等の問題に適用し, その非線形挙動を解明した. 3.実験的研究 熱線流速計や波高計及び各種の流れの可視化技術を用いて, 回転同心円管間の流れ, 弾性壁を持つ管や溝の中の流れ, 吸い込み口のまわりの流れ, 円管内流の遷移や乱流構造, 水面波の不規則挙動などにおける非線形効果を明らかにした. また無響室中での詳細な実験により非線形効果により渦輪から放射される音波の特性を解明した.
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