研究課題/領域番号 |
60302027
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
気象・海洋・陸水学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中尾 欣四郎 北海道大学, 理学部, 教授 (40000830)
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研究分担者 |
前田 保夫 神戸市立教育研究所, 指導主事
中井 信之 名古屋大学, 理学部, 教授 (40022529)
田上 龍一 旭川工業高等専門学校, 助教授 (50042081)
門村 浩 東京都立大学, 理学部, 教授 (80087064)
石井 次郎 東海大学, 理学部, 教授 (10055650)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1986年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1985年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 海岸湖沼 / 開口頻度 / 水収支機構 / 湖底堆積物コア / 粒度分析 / ソフトX線の微層理解析 / 湖盆形成史 / 安定同位体比による古環境変遷 |
研究概要 |
長い最終氷期も約1万年前に終りを告げ、地球は急速に温暖な気候へと移行した。本研究は氷期から間氷期に向う気候の激変期に、陸水環境がどのような機構で変動して来たかを明らかにすることを研究目的としている。 そこで、我々は十勝海岸に位置した砂州塞止湖,ホロカヤントー沼の開口頻度の変遷を手掛に、気候と陸水環境変動の相互関係に焦点をしぼることにした。当初に、3年の連年計画として立案された我々の研究計画は、昭和58年には単年度で認められた。この年は、陸水環境の現況調査に主眼が置かれた。その結果、現在の気候条件では、4〜5年に1度の頻度で海に開口する沼の水収支機構を明らかにした。開口頻度は堆積層中の粗粒な微層理として記録される。さらに、沼の生物学的,地球化学的環境の調査とともに、流域発達過程の中に、湖盆形成と砂州による河口閉塞を位置付けることが出来た。これによって、沼の陸水環境変遷の跡をたどる手掛が用意された。 その後、昭和60年度から2年間の継続研究が認められた。そこで、先ず古環境復元の決め手となる湖底堆積物コアの採取を昭和60年8月に実施した。コアリングは分担者全員の参加を得て、沼奥の副湖盆中央に定置した筏上から試みた。掘削は湖底下12mの深度で河床礫層に達し、コアリングを断念したが、礫層上に堆積した10.8m長の湖成堆積物コアの採取に成功した。礫層は現在より海面が低下していた時代に、現在の湖盆を河谷として海へ流入していた川の河床堆積物である。後氷期の海面上昇期の8,400年前に、河口塞止湖が形成された。さらに、海面上昇は続き、後氷期で海面が最高に達した縄文海進時には、現在より約2m高い砂州が現位置で河谷を塞いでいた。なお、開口頻度は約4,000年前を境として増大している。コアの諸分析から見て、沼の陸水環境は海水面変動と気候変動の影響を相互に受けながら変動を重ねて来た。
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