研究分担者 |
吉永 日出男 九州大学, 総合理工学研究科, 教授 (40005856)
前田 康二 東京大学, 工学部, 講師 (10107443)
藤田 広志 大阪大学, 工学部, 教授 (30028930)
角野 浩二 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50005849)
石田 洋一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60013108)
KATAOKA Toshihiko Faculty og Engineering, Univ. of Osaka (50029328)
TAKEUCHI Shin Institute for Solid State Physics, Univ. of Tokyo (60013512)
IMURA Toru Faculty of Engineering, Univ. of Nagoya (50022968)
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研究概要 |
この総合研究は, セラミックスの強度について格子欠陥論の立場から理解を深めよとするもので, 昭和60年度から62年度の3ヶ年にわたって進められた. この間, メンバーの日常的な共同研究活動に加えて, 各年度毎に一回, メンバー全員が集まって2〜3日間にわたる研究討論集会を開いて各自の研究経過をもとにしして活発な討論と意見交換が行われた. また, 研究会には分担者以外にも関連ある分野から講演者を招いて講演とともに論議に参加していただいた. この総合研究を通して次のような成果があげられた. まづ, セラミックスが硬くてもろいことの結晶塑性学的な観点からの理解が確立した. すなわち, 結晶構造とすべり系の幾何学的性質から, セラミックスではパイエルス応力が高くなること, さらにすべり系の数が少いことがセラミックスの機械的性質を支配していることが明らかとなった. 高温強度に関しては, 従来実用的観点での研究が多くなされてきたが, この総合研究では, より基礎的な研究に力を入れ, SiC, ZnO2や硼化物等の変形機構や強化機構が明らかにされた. 化合物半導体の変形機構や光塑性効果についても本質が理解されつつある. イオン結晶中の転位を光散乱法によって観察する方法が開発され, 解像度も著しく改善されるに至った. 高分解能電子顕微鏡による結晶粒界の格子像観察が精力的に行われ, 粒界構造が明らかにされた. とくに, ある種のセラミックスでは粒界が非晶質構造となることが見出された. このことは粒界接合技術の面から興味深いことである. 以上のように, この総合研究によってセラミックス中の格子欠陥, とくに転位と粒界について多くの知見が得られ, さらにセラミックスの強度特性を向上させるために有効ないくつかの指針が得られた. したがって, この総合研究の目的は十分に達成されたものといえる.
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