研究分担者 |
前田 悠 名古屋大学, 理学部, 助教授 (20022626)
小畠 陽之助 北海道大学, 薬学部, 教授 (80028092)
須貝 新太郎 北海道大学, 理学部, 教授 (80000727)
和田 昭允 東京大学, 理学部, 教授 (10011462)
今井 宣久 名古屋大学, 理学部, 教授 (10022526)
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研究概要 |
本研究班の発足後3年(実質的には2年と少し)間に3回の研究報告会を行い, 班員相互の研究討論の場としたほか, 延べ20名の招待講演, それ以外の多数の討論参加者を得て研究会の成果をあげた. 又生物物理学会でも, 電解質, 水和等のセッションを通して実質的班活動の場とした. 研究テーマは各班員が独自に進展させた. 以下その要点を列記する. 1.大型電算機による蛋白質内外の電場, 電位の計算や高分子電解質についての同様の計算は世界的に流行の兆しがあり, 本班でも発展が望まれるが, フェレドキシン等の球状蛋白質について周囲の溶媒, 低分子イオンも考慮した解が得られたほか, 高分子電解質ではポリマレイン酸, ポリフマル酸等, 解離挙動がその局所構造を考慮した解析を必要とする例が取上げられた. 2.分子グラフィックスの分野でも, ドメイン構造の描写等と共に電解質論と密着したテーマが積極的に取上げられるようになり, 手法も多様化した. 3.生体高分子の電気複屈折や誘電緩和等の過渡現象について, 特に交流電気複屈折の測定は高分子イオンの回転及びイオン分極緩和の分離, 同定に有力な手法であることが明らかされたほか, 希薄系から準希薄系での誘電緩和現象の移行の解析, 電気複屈折における配向関数に対する新たな試み等が発表された. これら過渡現象の非線形応答についての精密な理論的取扱いが報告され, より厳密な理論的解釈がなされるようになった. 4.ポリペプチドの溶液内でのβ構造については従来実験的には難解な課題であったが, 溶液内での相図, 熱力学的諸量の決定等平衡論的研究, および速度論的研究が集大成された. 5.高分子イオンの解離平衡の簡潔な形への定式化の問題, 溶液内規則構造の問題等について, 夫々理論, 実験両面からの報告がなされたほか, 電解質論の生物系への適用がなされた.
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