研究分担者 |
都野 雄甫 九州大学, 理学部, 教授 (10029845)
丸山 和博 京都大学, 理学部, 教授 (90025263)
岩村 秀 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (10011496)
稲本 直樹 東京大学, 理学部, 教授 (30011422)
櫻井 英樹 東北大学, 理学部, 教授 (70025873)
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研究概要 |
1.ヘテロ原子(ケイ素,硫黄,セレン,テルル,リン,アンチモンなど)を含む種々の新規有機化合物を合成して、それらのヘテロ原子の特性に起因した興味ある構造や反応性について研究した。ケイ素-ケイ素結合を含む新規共役系分子の合成や立体保護基による低配位リン化合物の安定化と単離、および炭素骨格を都合よく設計することによる超原子価化合物の合成、含ヘテロ小員環化合物の合成などが精力的に行われた。さらにセレン,テルル,アンチモンを用いた尿素合成,脱ハロゲン化反応,脱ニトロ化反応,酸化反応などが見い出され、それらの触媒反応と反応機構の解明が行われた。有機アルミニウムを用いた立体特異的不斉転位反応が考案された。その他ヘテロ原子の関与する数種の興味ある新規反応が開発された。 2.遷移金属錯体を触媒として、ヘテロ原子を反応点とそる合成反応が種々開発された。コバルト,パラジウム,ルテニウム,ジルコニウムなどを用いてヘテロ官能基の変換,ヘテロ環合成,一酸化炭素の挿入,メタラ環錯体の環拡大反応に新知見を得た。また配位子としてポルフィリン,光学活性ホスフィン,大環状ポリアミンを設計合成して、新規な光反応や下斉合成反応の開発、ならびに特異な機能の発現に関して研究した。物性的に興味のもたれている高スピン有機分子が構築された。 3.反応機構的観点からヘテロ環における置換基効果、溶質-溶媒相互作用ヘテロ原子を含むラジカルの物理化学的挙動について詳細に検討された。X線結晶解析法を駆使して有機硫黄分子の構造、特に超原子価について明らかにされた。理論的な電子数解析により有機分子中の原子の酸化数に関し明確な定義を得た。ヘテロ原子を含む新規化合物や不安定中間体の構造や安定性を量子化学的に推定して実験結果の合理的説明に指針を得た。以上の各分野の討論により新規研究分野を関発した。
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