研究課題/領域番号 |
60304003
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生態学
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
横井 洋太 茨城大, 理学部, 助教授 (90007758)
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研究分担者 |
堀 良通 茨城大学, 理学部, 助手 (30125801)
可知 直毅 国立公害研究所, 生物環境部, 研究員 (30124340)
古川 昭雄 国立公害研究所, 生物環境部, 室長 (10124356)
沢田 信一 弘前大学, 理学部, 助教授 (70106839)
伊野 良夫 早稲田大学, 教育学部, 教授 (30063697)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
14,100千円 (直接経費: 14,100千円)
1986年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1985年度: 9,600千円 (直接経費: 9,600千円)
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キーワード | 馴化・適応 / 常緑多年生草本 / 常緑広葉樹 / 蘚類 / 光合成 / 光斑 / シンク・リース / 光合成の数学モデル |
研究概要 |
本研究は、植物の物質生産・再生産過程がその主要な環境要因である温度と光に対して、いかに馴化・適応しているか、また、その機作はいかなるものであるかを、野外調査・実験・理論の各側面から、総合的に検討・解析することを目的としたものである。野外調査の対象としては冷温帯及び冷・暖温帯移行域の林床環境と富士山を中心とした極的環境をとりあげた。前者の環境では、常緑多年生草本(キッコウハグマ,マルバノイチヤクソウ)と常緑広葉樹の稚樹(シラカシ,アラカシ)を材料にして、比較的温和で季節性のある温度環境とかなり制限された光環境下での植物の物質生産的挙動を調査し、光合成の光・温度依存特性の季節変化とその種特異性、呼吸への温度の効果、光環境と物質貯蔵の関係,林床での光斑利用に適応した常緑広葉樹稚樹の光合成特性などを明らかにした。富士山を中心にした研究では主に蘚地衣類の低温に対する適応状況が調査され、蘚・地衣類が-10℃近辺の低温下でも正の光合成生産を行い得ること、また、日温度較差が非常に大きい富士山頂附近では、蘚類の形態的特性が熱的環境に対する適応に大きな効果をもち、このような環境に生育する種は高温と低温の両方に対する耐性を有することなどが明らかにされた。モデル植物を用いた生理的実験では、低温等による光合成産物の需要の減少が光合成能力の低下を惹起し、その機作には葉肉細胞中の蔗糖含量の増加が大きな役割をもつことが明らかにされ、野外における温度等の効果にもこのようなシンク・ソース規定が関与している可能性が示唆された。生化学レベルでの光合成反応や、葉内の【CO_2】拡散などについての知見にもとづいて構成された単葉の光合成の数学モデルを用いた理論的研究からは、温度及び光環境に対する光合成の馴化・適応の機作に、葉の比葉面積重(SLW)が大きな役割を占めていることが明らかにされた。
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