研究分担者 |
庄野 邦彦 東京大学, 教養学部, 教授 (60050457)
黒岩 常祥 東京大学, 理学部, 教授 (50033353)
石川 辰夫 東京大学, 応微研, 教授 (20011520)
柳田 充弘 京都大学, 理学部, 教授 (80025428)
田中 健治 名古屋大学, 医学部, 教授 (70013315)
柳島 直彦 名古屋大学, 理学部, 教授 (30022742)
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研究概要 |
昭和60年から3年間に亘る総合研究(A)「植物における細胞周期の研究」は, 菌類, 藻類, さらに高等植物細胞における細胞周期の機構及びその制御について共同研究を発展させて来た. 総12名からなる班員はこの研究課題に関する研究の方向性について議論を深めると同時に, 研究方法論, 技術面での交流を深め, 多数の特筆すべき成果を挙げることが出来た. 以下にその主要な成果を列挙する. (1)安楽と宇野はそれぞれ酵母の細胞周期の制御におけるCa^<2+>イオン, cAMPの重要な役割を示すことに成功した. 細胞周期の進行に必須の遺伝子が見い出され, そのクローニング, 塩基配列の決定が行われた. 昨今, イノシトールリン脂質の重要性を示す画期的な成果も示された. (2)柳島と大隅は酵母の接合の初期過程に重要な役割を担うペプチド性フェロモンによる細胞の情報伝達と, αファクターによる形態変化の解析を行った. (3)柳田と田中は, 酵母(S.pombe)を材料として核分裂に関する研究を続けて来た. 柳田は分子生物学的手法を駆使して, その過程に関与する多数の遺伝子の構造を明らかにして来た. 田中は電顕によって細胞内部構造特にspbの構造を明らかにした. (4)石川と下田は, 減数分裂に関与する遺伝子を単離し, その特徴点を明らかにした. (5)黒岩と長船は, 蛍光顕微鏡技術を駆使してクロロプラスト, 色素体の細胞周期中の動的な変化を明らかにした. この研究は細胞生物学者に大きなインパクトを与えたと思われる. (6)庄野と和田は高等植物の細胞周期の進行における, 光要因, 植物ホルモンの寄与の実態を検討することに成功し, 将来のために有力な手掛かりとなるいくつかの基本的な方法を開発した. 以上の成果は別刷の報告書に示すように多数の論文として国際欧文誌に掲載された.
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