研究分担者 |
千葉 喜彦 山口大学, 理学部, 教授 (30004310)
富永 佳也 (冨永 佳也) 福岡大学, 理学部, 教授 (70078591)
立田 榮光 九州大学, 理学部, 教授 (10037179)
山口 恒夫 岡山大学, 理学部, 教授 (60000816)
吉田 正夫 岡山大学, 理学部, 教授 (50032793)
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配分額 *注記 |
9,700千円 (直接経費: 9,700千円)
1987年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1986年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1985年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
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研究概要 |
本総合研究班は多様な無脊椎動物視覚機能の特異性と普遍性を以下の三つの面から追求し, 視覚情報処理の一般原則解明に近づくことを目的とした. 1.光受容機構と光興奮過程:ハエの視物質発色団が3-ヒドロキシレチナールであることを確定し, その異性化過程を解明した(磯野). 無脊椎動物でも広くビタミンA_1, A_2, 視物質系が分布していることを見いだした(鈴木). チョウの色受容細胞には昆虫には普遍的でない赤受容細胞があることを見いだした. (江口・冨永). 昆虫のような微絨毛性光受容膜の代謝過程は, 脊椎動物の視細胞外筋膜のそれとは異なることが知られた(廣澤). イソアワモチ眼外光受容器を用いて, 光照射によるCGMPの減少を含む興奮発現過程が明らかにされ, 興奮過程の種普遍性が見られた(後藤). 免疫電顕によりロドプシン分子の光受容細胞内所在と, 膜の分解・再生過程が解明された(冨永). 光受容細胞の構造や視物質の環境変化に対する適応機構が明らかにされた(鈴木・江口) 2.視覚情報処理にかかわる神経回路:ゴキブリ単眼高次ニューロンの動特性は脊椎動物のそれとの普遍性が見られた(立田). クモ側眼の運動検知機構(山下)及びザリガニ視覚入力出力変換に関与する神経回路(山口)の解明により, 神経回路による情報処理の普遍性と特異性が示された. 3.固体発生過程と行動から見た視覚機能:昆虫の概日時計の所在と環境の明暗サイクルの影響が解析された(千葉). ホヤの眼の分化の固体発生的研究及びナメクジウオの光受容器の系統発生的視点からの研究がなされた(吉田). ハエを用いて, 高度な視覚機能は羽化後の光経験に依存して発達することが行動実験と組織化学法とによって明らかにされた(三村). 以上の成果から, 形態や作用物質では種特異性が, 機能面では主として普遍性があると結論できるようである.
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