研究分担者 |
笹谷 宜志 北海道大学, 農学部, 教授 (80001410)
樋口 隆昌 京都大学, 木材研究所, 教授 (00027153)
中野 準三 東京大学, 農学部, 名誉教授 (70011806)
深沢 和三 北海道大学, 農学部, 教授 (40001408)
原田 浩 京都大学, 農学部, 教授 (30026497)
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研究概要 |
1.木材の大部分は木質化した細胞壁から成る。その主成分であるセルロース,ヘミセルロース,リグニンおよび副成分について、生合成と堆積の過程ならびにそれらの複合による細胞壁の構築過程を化学的組織構造学的手法によって調べた結果、壁形成の全体像を描くことが可能となった。 2.セルロースの生成研究には、モデル実験系としてマガタマモおよびバロニアを用いた。セルロース合成顆粒体とミクロフイブリル(MF)の発達をアプラノスポア誘導後フリーズフラクチャ法で時間経過を追って調べた結果、顆粒体の発達とMFの堆積との間には密接な関係のあることが認められた。 3.ヘミセルロースの生合成には、ゴルジ体が関与しており、かなり高分子化したヘミセルロースを含むゴルジ小胞のエキソサイトーシスによって、細胞壁に供給されるものと推定された。 4.リグニンの生合成と堆積過程に関しては、カラマツ,ハルニレの師部厚壁細胞,クロマツ,ポプラ,コブシ,ブナ,マカンバなどの新生木部組織の分化中の細胞およびトドマツ圧縮あて材組織の細胞などについて、電子顕微鏡、光学顕微鏡を用いる組織化学的方法,ミクロオートラジオグラフ法,分化段階別に採取した試料の化学分析法などにより、堆積の様式,化学構造の変遷などが明らかとなった。また透析膜を用いたモノリグノールの脱水素重合法により、高分子リグニンの形成,炭水化物との結合の生成などのシミュレーションを行った。その結果、分化中の木部組織では、細胞の種類,細胞壁上の場所および分化の段階により、リグニンの堆積の時期,早さ,期間,モノリグノールの種類などが変るため構造が不均一になることが示された。 5.副成分の形成については、カツラ,トドマツ,カラマツなどの樹幹内の水平分布を調べ、心辺材境における著しい変動,フラボノイド化合物,リグナン類の形成を明らかにした。
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