研究分担者 |
阿部 宏喜 共立女子大学, 家政学科, 助教授 (80086727)
佐藤 実 北里大学, 水産学部, 助教授 (70050680)
坂口 守彦 京都大学, 食糧科学研究所, 助教授 (00027187)
藤田 真夫 近畿大学, 農学部, 教授 (40088159)
須山 三千三 東京水産大学, 水産学部, 教授 (10017006)
|
研究概要 |
本研究は、水産動物の主として筋肉の主要含窒素エキス成分の蓄積機構や生理的意義を解明しようとするもので、主な成果は次のとおりである。 1.軟体・節足動物それぞれ数種について調べたところ、環境水の濃度変化に応じて体液浸透圧が変動し、体組織の遊離アミノ酸やベタイン類含量も変動した。 2.クルマエビとサザエの筋肉,鰓,内臓中のホマリン(1)とトリゴネリン(2)は、高張海水中では増加し、低張海水中では減少傾向を示した。アメリカザリガニ【1】を含む飼料を摂食させると、その【1】と【2】の含量が変動した。 3.ホタテガイやエゾアワビを空中放置したり、強制運動させたりすると、内臓あるいは筋肉にストロンビン,紅藻酸,オクトピンなどが蓄積したが、海水中に戻すと元のレベルに復帰した。アカガイからは新オピン,-β-アラノピンを単離した。 4.各種魚類の普通肉と血合肉における遊離ヒヌチジン(【3】),カルノシン(【4】),アンセリン(【5】)の分布特性を明らかにした。ニジマス筋肉のこれらイミダゾール化合物含量と緩衝能は、8週間の強制運動によってもあまり変化しなかった。 5.魚類白筋中の【3】は絶食により急激に減少し、【4】と【5】は増加した。筋肉の緩衝能はこれら成分の含量と比例していた。この緩衝能は種特異的な温度依存性を示した。 6.シロザケ,ウナギ,グッピーにタウリン(【6】)添加飼料を投与すると、体内の【6】含量は増加した。ウナギ体内の【6】含量は、海水中で増加傾向を示した。 7.6と同じ魚類の体組織中のトリメチルアミンオキシドは、海水飼育あるいはトリメチルアミン添加飼料投与により蓄積した。また、ウナギとグッピーでは、これら条件下でトリメチルアミンオキシゲナーゼ活性が上昇した。 8.グリシンとアルギニンからのクレアチン生合成能は魚種により異なり、グリコシアミンからのみ含成可能なものもあった。同一魚種の成長段階によっても生合成能は異なるものと考えられた。
|