研究概要 |
緒方は, ラットリボソーム蛋白S17, S26, L5, L30に対するcDNAクローンを得, アミノ酸配列を推定し, 大腸菌や酵母のリボソーム蛋白との比較からS17と酵母P51, L5と酵母YL3と相同性があることを見い出し, 進化の問題に対する知見を得た. 村松は, マウス及びヒトrRNA合成の調節機構を人工変異体遺伝子を用いて解析を行い, rDNAプロモーター領域内の-7, -16, -25など限られた数の重要な塩基があること, rDNAに特異的に結合する因子(TFID)があること, この因子が種特異性を規定すること, rDNA上での転写開始複合体形成過程等を明らかにした. 三井は, アデノウイルス5型でトランスフォームしたマウス骨髄間質細胞から細胞増殖抑制因子を分離し, rDNAの転写活性に影響を与えることを見い出した. 田中は, ラット再生肝ポリA^+RNAからcDNAライブラリーを作成し, リボソーム蛋白S11, L27, L31, L35a, L37aに対するcDNAクローンを単離し, アミノ酸配列の推定を行った. また, これらをプローブとして, 染色体DNAの単離を試みたが, 偽遺伝子のみしか得られなかった. 剱は, リボソーム蛋白の代謝と核内移行メカニズムについて解析を加え, リボソーム蛋白合成は, rDNA合成との転写レベルでの共役はなく, 核内のプロテアーゼが深く関与していることを見い出した. 又, 酸性リボソーム蛋白は, 塩基性リボソーム蛋白とは異なり, 核内へ移行されず, 細胞質中でプールされることを見い出した. 中山は, リボソーム蛋白の発現調節因子の分離同定を目差すための第一段階として, ニワトリの非ヒストンクロマチン蛋白質の系統的な分離精製の確立を行った. 三嶋は, 転写と共役及び脱共役化したin vitroプロセシング系の開発を行い, マウス18SrRNAの5^1末端上流105塩基でプロセシングが生じることを見い出し, このプロセシングに関与する蛋白性因子とプロセシングを規定する塩基配列の同定を行った.
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