研究分担者 |
家森 幸男 島根医科大学, 医学部, 教授 (80025600)
徳永 力雄 関西医科大学, 医学部, 教授 (40121959)
糸川 嘉則 京都大学, 医学部, 教授 (80025593)
和田 攻 東京大学, 医学部, 教授 (60009933)
木村 修一 東北大学, 農学部, 教授 (70005586)
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研究概要 |
1)生物学的に活性度が低いと考えられてきた貴金属1回曝露, ときには, 貴金属の長期内服によっても, 生体内微量元素の平衡の乱れを生じ, しかも, 生体の機能維持に極めて重要な銅, 亜鉛, マンガンが肝から他臓器へ移出することが分った. 2)チタンの吸収や体内分布がビタミンCによって著明に変化することを見出した. 血中ではビタミンCと結合し, さらに特定分画の蛋白をキャリアーとして結合していることが分り, この蛋白の同定を進めている. 3)マンガンの肝ライゾーム画分とり込み量が大きいので胆汁排泄が大きい. クロムは肝の低分子蛋白と結合しているが, 糖, 脂質代謝に関与しているのではないか. ニッケルは分子量800の肝中物質と結合していたが, 銅, 亜鉛により一部が置換された. 4)銅投与により延命させたメンケス症モデルマウスの肝, 腎, 脳の微量元素16種を中性〓放射化分析法を測定したところ, 銅, マンガンに変化がみられたほかは, すべて正常であった. 5)ベリリラムによる細胞性免疫応答には明白な量-反応関係はなく, 感作成立には生体側要因が強く関与している. 抗体産生応答は多量曝露で短期間に元進するが, 微量曝露では一部の動物にのみ元進が認められた. ことにBリンパ球の分化に作用することを見出した. 6)クロムの毒性は鉄同時投与で軽減されるが, 前投与では影響されない. 鉛の毒性は鉄と亜鉛の同時投与, 前投与で軽減される. これらの機序についてクロム・鉛の生体内動態面から検討した. 7)カドミウム汚染地域住民の臓器元素10種を測定し, 亜鉛, 銅の上昇が認められた. 8)マグネシウム欠乏はビタミンB1欠乏の誘因となる. 過剰ビタミンB1は体内マグネシウムを消費する. ビタミン代謝はカルシウム, 鉄, 亜鉛, 鉛, 銅により阻害される. 9)鉛中毒時にはミトコンドリア呼吸鎖内の鉄の還元を阻害しヘム生成を低下させる. 10)充分量の蛋白投与でカルシウム降圧作用がみられる.
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