研究課題/領域番号 |
60304058
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
武内 重五郎 医科歯科大, 医学部, 教授 (80019512)
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研究分担者 |
伊藤 進 埼玉医科大学, 教授 (90009150)
辻井 正 奈良県立医科大学, 教授 (30075064)
太田 康幸 愛媛大学, 医学部, 教授 (40033055)
高田 昭 金沢医科大学, 教授 (30064497)
奥平 雅彦 北里大学, 医学部, 教授 (50050331)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
1986年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1985年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | アルコール性肝障害 / 全国実態調査 / アルコール性肝炎 / 肝細胞癌 |
研究概要 |
アルコール性肝障害の病態と成因を解明し、わが国の現状を把握する目的で以下の研究を行い、大きな成果をあげることができた。 1.診断基準の設定:従来より本症の診断は欧米諸国から提唱された基準が使用されてきたため、実情に即したとはいえなかった。そこで、肝線症・慢性肝炎・非特異変化を入れた6病型に分類した新しい診断基準を作成し、実際に臨床的に使用しやすい基準を提唱した。 2.実態調査に関する研究:最近のわが国における現状を把握する目的で、全国主要病院内科113施設における昭和60年までの10年間の総計14,917例の本症を分析した。そして、本症の病態が近年欧米型に変化しつつある現状を明らかにした。とくに、重症型アルコール性肝炎と、アルコール性肝硬変の肝細胞癌合併率が著増していることを指摘し、この両者の病態解明の重要性を指摘した。 3.病態解明に関する研究:班員施設の症例をすべて集績して分析した。まず重症型アルコール性肝炎14例を解析し、本症の病態は過剰飲酒に起因した肝不全と多臓器不全の発生による予後不良な疾患であることを明示した。大酒家の肝細胞癌319例とその癌組織22標本を分析し、肝癌発生は細小結節性肝硬変の時期から認められること、癌細胞DNAにはHBA・DNAの組み込みは分子生物学的に証明されないことを明らかにした。肝組織学的に90症例の経過を追跡し、アルコール性肝硬変は高度肝線維化ないし慢性肝炎活動型の病型から進展するという肝硬変成立機構を解明した。さらに、116症例の栄養学的背景を調査し、肝硬変では総熱量の半分がアルコールに由来することを明らかにした。 4.成因に関する研究:肝Kupffer細胞がアルコールによって機能低下の状態に陥ることを示し、またアルコールによって変異した肝細胞膜に対する抗体の産生の証明と1gA産生能変動の成立を示して、細胞生物学的にアルコールが肝細胞障害を惹起させる機構の一部を解明した。
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