研究課題/領域番号 |
60304066
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
戸部 隆吉 京大, 医学部, 教授 (70025641)
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研究分担者 |
武藤 輝一 新潟大学, 医学部, 教授 (80018308)
森岡 恭彦 東京大学, 医学部, 教授 (10048952)
水本 龍二 三重大学, 医学部, 教授 (00025561)
菅原 克彦 山梨医科大学, 教授 (90009944)
阿部 令彦 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (90051028)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1986年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1985年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
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キーワード | 多臓器障害(MOF) / DIC / 大量臓器切除 / 呼吸循環不全 / 肝不全 / 閉塞性黄疸 / 重症膵炎 / エンドトキシン |
研究概要 |
術後のMOFは進行性に病態を重篤化し、その予後は極めて不良であり死亡率は極めて高い。本研究はMOFの発生機序および病態の究明、さらに対策を目的として各専門的立場から総合研究を行い次の成果を得た。1.DICとMOF:DICは臓器障害程度に平行し、MOFの重要な原因と考えられた。2.呼吸、循環不全とMOF:肺、心障害のmediatorとしてthromboxan【A_2】の関与が示唆され、とくに補体を介する好中球の肺への集績が肺障害発生の重要な原因と考えられた。3.食道癌術後のMOF:感染を契機として肺が初発不全臓器となりMOFに移行する場合が多い。食堂癌術後感染症では耐糖能障害、蛋白代謝異常が認められ、術後のMOF対策としてTPNの重要性が示された。4.肺不全とMOF:術後の肺不全の発生原因として肝血流阻止重症感染に起因する細胆管レベルでの胆汁鬱滞が示され、その機序として肝のエネルギー代謝の低下が示唆された。5.閉塞性黄疸とMOF:閉塞性黄疸時にはendotoxin血症と相俟ってIgA分泌機能障害から血中免疫複合体が上昇し、これがMOFの一つの要因と考えられた。6.重症膵炎とMOF:急性膵炎に伴うphospholipase【A_2】による尿細管障害、trypsinによる腎糸球体障害、肺障害がMOFの発症原因として重要なことが示唆された。7.MOFと代謝、栄養:endotoxinにより循環動態はhypodynamic stateになるが、末梢組織ではブドウ糖の取り込みが増加し、糖代謝はhypermetabolic stateとなり、MOFにおける代謝、栄養面での問題点が示された。 以上の研究の結果、MOFの発生機序、病態解明の糸口が明らかとなり、MOF対策を考える上で多くの示唆が得られた。今後は個々の臓器における病態をより詳細に究明し、臓器相互の病態を有機的に解明し、MOFの臨床診断基準の作成、MOFの予防、対策にむけて一層の研究を行いたい。
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