研究分担者 |
砂田 今男 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (50005013)
原 耕二 新潟大学, 歯学部, 教授 (20018419)
斉藤 毅 日本大学, 歯学部, 教授 (60059235)
雨宮 璋 北海道大学, 歯学部, 教授 (80018415)
岡田 宏 大阪大学, 歯学部, 教授 (40038865)
|
研究概要 |
根尖性歯周組織炎や歯根嚢胞などの病理発生機序を病理形態学、細菌学、免疫学、物理化学の観点から分析し、次のような結果をえた。1)根尖病巣の神経病理学的分析では病巣内に分布する神経束は歯槽底から由来し知覚神経であり病型により分布量に差がある。2)病巣浸潤細胞にはT細胞とΒ細胞,マクロファージ,白血球,肥満細胞を認めた。3)病巣成立時には著明な破骨細胞が出現し歯槽骨の吸収像が認められ、炎症機転と密接な関連がある。4)病巣の酵素組織化学的検索では組織破壊に関与するALPase,ACPase,βグルクロニダーゼ,SDH,MDHなどの消長がみられた。5)辺縁性歯周炎を伴う失活歯の根管内細菌は歯周ポケットと平行的でBacteroides,FusobacteriumPeptococcus,Streptococcusを認めた。6)閉鎖性失活歯根管からは偏性嫌気性菌を分離した。特にPropionibacterium acnes,Hemophilusなどの単一感染があり、これらの細菌に対するIgG抗体は局所で特異抗体として産生されている。7)感染根管内起炎物質をO-Phthalaldehyd(O.P.A)試薬で検出し、汚染度測定の指標の可能性を明らかにした。8)感染根管内容物には血管透過性亢進能,好中球遊走活性,補体由来遊走因子が存在する。9)無菌飼育ラット根管内に内毒素を投与すると変性,壊死,血管障害,破骨機転を認めた。10)根尖病巣の免疫担当細胞にはIgG保有細胞が約60%,OKT4陽性細胞20%,OKT8陽性細胞16%を認め、IgM保有細胞は僅少であった。11)歯髄をinsituで熱変性をおこさせると6週目から根尖部透過像を認め25週で根尖病巣が確認された。12)感染根管壁の物理化学的性状は全般的軟化型と石灰化層状型に2大別され、照射用と測定用光ファイバーで反射光量と反射スペクトラムを測定すると反射光量により根管象牙質の光学的特性がわかった。13)インドメタシン投与により根尖病巣の骨吸収が抑制され、病巣局所におけるプロスタグランジンとの関連を検討しうる。
|