研究概要 |
スポーツマンにおける突然死には, 心肥大, 不整脈の関連が重視されている. この2つの所見が, スポーツマンにどのように発生しているか, 又これ等の所見を見出すにはどのようにすべきかを, 3年間にわたり検討した. 1.スポーツと不整脈, スポーツと心肥大をテーマに2回公開シンポジウムを行ない, スポーツと両所見の関係に関し理解を深めた. 2.日本体育大学学生を対象に, 安静時心電図をチェックし, 異常所見の幾つかを標的として, 心エコー図, Holtes心電図, Ergometerによる運動負荷心電図を記録した. 安静時心電図にST.T異常特にII誘導のTの平低のある症例では, 運動負荷陽性例が多く, 又中隔肥厚と不整脈発生との間に, ある程度関係があることが示唆された. 最近数年間の観察では急死例はなく, 又著明な心肥大症例はなかった. 発作性心房細動, 上室頻拍, 心室期外収縮の多発, 心室頻拍発作のある例が, わずかにみられたが, 特別な事故はなく, 卒業可能であった. 3.日体大学生と勤労青年とで, 心電図所見, 自覚症, 既住歴につき, 項目を統一して比較したが, 両者に見るべき差は〓かれなかった. 心電図所見のみについてみると, 体育大学学生において, 徐脈傾向, 高電位差が多い傾向があり, 又強い強度の運動をしている学生にST.T変化の多い傾向があった. 4.日本体育大学卒業性の予後調査を行ない, 国民脂肪率より低い脂肪率であった. 5.まとめ. 本総合研究において, スポーツを専門とする学生がスポーツ中に急死をする要因を明らかにはし得なかったが, 安静時ECG,Ergometer負荷心電図, Holter心電図, 心エコー図等循環器検査を含めた健康管理システムは少くとも発足してより, 心事故がないことにより一応の成果を得たと云えよう. 諸資料をまとめて出版の予定である.
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