研究分担者 |
中西 孝 金沢大学, 理学部, 講師 (00019499)
小佐古 敏荘 東京大学, 原子力研究センター, 助教授 (50114476)
丹羽 太貫 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (80093293)
沢田 昭三 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (60034625)
伊藤 明弘 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (60034633)
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配分額 *注記 |
11,700千円 (直接経費: 11,700千円)
1987年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1986年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1985年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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研究概要 |
本研究の目的は広島・長崎両市における原爆被爆試料を利用しての中性子及びガンマ線量の再評価, 並びに両市の被曝者における線量効果関係の再検討を行うと同時に, 広島大学原医研に導入された252Cf線源による核分裂中性子の各種生物効果の検索を通じて中性子のヒトに対する生物学的影響を総合的に解明することである. 3年間の研究期間に得られた成果は以下の如くに要約される. (1)本班研究者の被爆試料による中性子及びガンマ線量の実測は1986年3月に開かれた日米原爆線量再評価委員会の上級委員会において承認された新線量評価システム(DS86)の成立に多大な貢献をした. (2)DS86の承認後においても新たに発見された被爆試料を利用して広島原爆の出力がDS86で言われているよりやや大きく, 約18ktであった事を示唆する所見が得られている. (3)爆心地近くの墓石, 橋柱などの152Eu, 154Eu, 60Co, 更に遠距離被爆試料中の152Euを濃集することにより中性子線量の推定が可能となった. (4)ガンマ線量の評価にはTLD法及びESR法が用いられたが, 一般にDS86より高い線量が得られた. 特に広島において爆心から2kmの場所ではDS86より平均約80%大きいという結果が得られた. これらの所見から, 原爆放射線の方向性なども含めて, 今後とも線量再評価作業は継続されるべきであると結論された. (5)DS86による広島原爆の中性子線量が大幅に減少したため, 中性子のRBEは推定できなかったが, 仮にRBEを10とした場合, 10^4人中Sv当りの過剰死亡数は各種腫瘍で約1.1〜2.3倍と評価された. (6)252Cf核分裂中性子の生物影響を, マウスにおける催奇形性, 生殖細胞致死効果, invitro cell transformation, ヒト骨髄細胞の染色体変化, ショウジョウバエ突然変異誘発効果及びマウスにおける腫瘍誘発効果をガンマ線のそれらと比較した結果, 中性子のRBEは2〜20と推定され, 更に基礎的データの集積が不可欠と結論された.
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