研究分担者 |
三木 直正 金沢大学, がん研究所, 教授 (40094445)
村上 元彦 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (50051058)
秋野 豊明 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80045377)
原 藜子 (原 黎子) 大阪大学, 理学部, 講師 (20075138)
伊藤 允好 神戸女子薬科大学, 教授 (20068331)
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配分額 *注記 |
16,200千円 (直接経費: 16,200千円)
1987年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1986年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1985年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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研究概要 |
視細胞外節の光情報変換機構は, 三つの過程から成る. 即ち, (1)光受容分子ロドプシン(Rh)の発色団レチナールの光励起がRhの構造変化を誘起し, 生理的活性中間体メタRhIIが生成する情報変換過程. (2)メタRhIIの触媒作用で数百分子のGTP結合蛋白質(T)が活性化され, これが更にcGMP分解酵素(PDE)を活性化する情報増幅過程. (3)増幅された光情報信号(cGMP)が細胞形質膜のイオンチャンネルの開閉を制御し, 受容器電位を発生する情報発現過程. 本研究ではこのテーマに沿い, 有機的な連携をもって研究を進めた. まず過程(1)において, レチナール類縁体を用いた吉澤と伊藤の共同研究により, 光励起後のRhの退色過程における発色団とアポ蛋白の相互作用変化が実験的に解析された. また, 垣谷により理論的計算に基づく検討も行われた. 片岡は, X線回折法を用いてレチノイド蛋白質の形状及び膜中での存在状態を推定した. 原は, 頭足類を材料とし, Rhへのレチナール供給機構及びそれに関与する蛋白質を明らかにした. 過程(2)においては, Tが活性の異なる2成分から成ることを秋野は見出し, この両成分により情報増幅度が制御される可能性を示した. 遺伝子レベルでの解析は三木が担当し, Tの遺伝子発現が光により調節されること, 更に網膜に特異的に発現する新しい蛋白質を見出した. 村上は, PDEの光活性化に伴うkm値の上昇を見出し, 明順応機構を解析すると共に, cGMP合成系を電気生理学的に捉えることに成功した. 尼川は, 視細胞におけるイノシトールリン脂質の代謝回転が光によって活性化され, この過程にGTP結合蛋白質が介在することを明らかにした. 過程(3)では, イオンチャンネルの実体を明らかにするため, [3H]cGMPによる光親和性標識法が用いられた. その結果, 吉澤は57kDa(ウシ), 篠沢は250kDa及び66kDa(カエル)のcGMP結合蛋白質を同定した. これらをチャンネル蛋白質の候補と考えて, 現在解析を進めている.
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