配分額 *注記 |
30,800千円 (直接経費: 30,800千円)
1987年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1986年度: 11,400千円 (直接経費: 11,400千円)
1985年度: 13,400千円 (直接経費: 13,400千円)
|
研究概要 |
1.トリチウムのベータ崩壊スペクトルを測定することに成功し, 昭和61年度はニュートリノ質量の上限値として, mν32eV(90%C.L.), 昭和62年度はmν(90%C.L.)を得る. 2.本実験の特徴及び本科研費によって達成し得た成果は: (1)世界最高のエネルギー分解能(ΔE/E=4×10^<-4>)を実現した. (2)大面積トリチウム薄膜をラングミュア・ブロジェット法を用いて製作する技術を確立した. (3)トリチウム線原を化学的に全く同質の109Cd線原を製作し, 測定系の応答関数を簡単に, かつ信頼度高く実験的に測定する手法を確立し, 実験の信頼性を高めた. (4)腺原を冷却し, トリチウムの真空中への脱離・蒸発現象を抑制することに成功し, トリチウムの斬新な取り扱い法を案出する. 3.質量の上限値をさらに抑えるべく, 統計精度を上げるため, 昭和62年度には, (1)従来の5倍の面積の線原製作法を確立し, また, (2)新型ベータ線位置検出器を開発(これにより計数率は従来の6倍となる)した. この結果, 計数率並びにS/N比は従来の30倍となり, 質量の上限値を〜10eVに抑えられる見込みである. 現在, その実験準備段階である. 4.応答関数の測定に利用するAg KLLオージェ・スペクトル(昭和61年度)及びΔqKLM, KLNオージェ・スペクトル(昭和62年度)に高分解能で測定した. Z=30〜60の原子に対して初めて高精度の遷移エネルギー及び遷移確率を得, 理論的研究に貴重なデータを提供できた.
|