研究概要 |
電力系統間を直流連係にて連結し, この連結部に超電導エネルギー貯蔵装置を設置することによって有効・無効電力を独立に制御し, 従来にない系統の安定化の可能性を実証することを目指して, (1)両系統の独立制御, (2)連結部を通過する送電電力の制御, (3)事故系統安定化のための他系統からの応援制御, (4)両系統間の動揺の遮断, 等の種々な制御を重点的に検討した. 以下得られた成果について述べる. 試験機器等の開発に関しては, 先ず, エネルギー貯蔵用超電導マグネットとしては筆者らが工業的製造法として確立した方式でパルスコイルの製作を行い, 所定の100KJのエネルギー, 7T/3秒の立上げ・立下げ運転が容易に実現した. GTO交直変換器にパルス幅制御方式を採用し, 有効(P)・無効(Q)電力の同時制御が全域で可能とした. この場合, 制御回路, 運転プログラム等について新規に構築することが必要となった. これらの制御には, 両系統の電流, 電圧, コイル電流, 発電機の速度偏差値を検出し, 指定した有効電力と無効電力を取るべくパルス幅と位相を計算し, GTOの点孤角を決定することを要するが, 上記(1), (2)の項目に関しては, 運転プログラムの開発を行い, 実証試験を遂行したところ良好な結果が得られた. (2), (3)の事故時等の対策に関しては, 現在の整備状況から完全な実験までには至っていないが, 別途手持ちの模擬系統, 地絡回路, 発電機, 等の設備を利用して行った試験の結果, 定常状態での超電導マグネットの定電流制御と事故時の系統安定化のための発電機速度偏差の帰還制御については所期の目的に合致した動作をすることが確かめられたので, 今後設備に拡充につとめ全体的な動作確認を実施したい.
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