配分額 *注記 |
27,500千円 (直接経費: 27,500千円)
1987年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1986年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1985年度: 22,000千円 (直接経費: 22,000千円)
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研究概要 |
フェロセン誘導体や有機スズ化合物の固体状態における分子構造と電子状態(原子価状態)との関連を明らかにする目的について以下の成果を得た。 これまでのフェロセン誘導体にヨウ素,塩化水銀,塩化スズなどが付加した化合物におけるメスバウアースペクトルを中心とする知見をもとに、対応するルテノセン誘導体および、鉄,ルテニウム双方を含むメタロセン誘体付加物について、炭素-13固体高分解能NMR法を中心にその固体状態での物性を検討した。その結果これらのルテノセン誘導体の【^(13)C】NMR化学シフトと相当するフェロセン誘導体の四極子分裂値に相関がみられることから、これらのルテノセンとフェロセン誘導体間の構造に類似性がみられることを示すとともに、これれの化合物の構造について、【^(13)C】化学シフトおよびその線形から推定した。また、ルテニウム,鉄原子と、付加した、ヨウ素,水銀,スズとの相互作用,結合の様式などについての知見を得た。 一方、種々の一電子酸化二核ビフェロセニウム誘導体について、対イオンの異る様々の塩を合成し、そのX線回析,人工バウアースペクトル,ESRスペクトルの測定結果から、これらの錯体の鉄の原子価状態が対イオンにより大きく影響されることを示すとともに、これらの錯体と対イオンとの相互作用の実体についての知見を得た。また、いくつかのアルキル置換一電子酸化ビフェロセンにおける原子価状態の温度依存性を詳細に検討するとともにこれらの変化が、原子価状態における秩序-無秩序転移に類似した挙動であり、また、このことを簡単な統計力学モデルにより説明できることを示した。
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