配分額 *注記 |
35,000千円 (直接経費: 35,000千円)
1987年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1986年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1985年度: 25,000千円 (直接経費: 25,000千円)
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研究概要 |
オキシランとイソシアナートやカーボジイミドなどのヘテロクムレンとのシクロ付加反応は医農薬品, 樹脂の改質剤, 合成中間体などとして重要な複素環化合物の簡便な合成法として古くから研究の対象となっており, 数々の触媒が開発されているが低収率, 過酷な反応条件, 副反応などの点で満足できるものではない. 本研究では, これらの欠点を克服できる触媒の開発を最大の目的として検討した結果, 以下のような成果をあげることができた. (1)有機スズハライドとルイス塩基とにより形成される錯体がこの反応を大きく促進し, 室温付近で付加は瞬時に完結される. ハロゲンとしてはヨウ素が最もよく, 特に有効な錯体は, R_3SnI-ホスフィンオキシド, R_2SnI_2-ホスフィン(R=Me, Bu, Ph)である. (2)これらの錯体は, 混合するだけで簡単に調整でき, しかもほとんど中性に近いものであり, 不安定な官能基を有するオキシランにも適用可能である. (3)ヨウ化スチボニウムに代表されるオニウム塩との錯体は, 従来非常に活性の低かった2,3-二置換オキシランとの反応でも高収率で対応する環化付加物を生成する触媒能を持つ. (4)一置換オキシランとの反応では, オキシラン環の立体障害の少ない炭素側で開裂した3,5-二置換生成物(β-開裂シクロ付加体)を選択的に与える. (5)これらの有機スズ錯体の触媒活性はその構造と密接に関係している. たとえば, オクタヘドラル構造のものには活性がなく, 5配位構造のものが高活性であった. (6)Ph_4SbIは, スズ錯体とはまったく対照的であり, 3,4-二置換環状生成物を選択的に生成する. この反応に対する従来のの試みは, 失敗に終わっており, この触媒によりはじめて可能となったものである.
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