研究概要 |
膜や粒子などを気相原料から直接合成する手法である. Chemical Vapor Deposition法は, 先端製造技術のひとつとして半導体やハードコーティングの分野で用いられている. しかしながら, CVD法においては, 気相の化学反応拡散, 成長α子固体表面への吸着, 成長といった複雑な現象が相互に関連しながら進行するため, 極めて複雑な現象となっている. 本研究と化学工学的視点に立って, CVD法を製造工学として対系化することを主眼に検討を行ってきた. 以下に, 3年間の研究実績についてまとめる. まず, 薄膜形成においてはHOCVDによるGaAs合成を具体例に, 気相での反応と物質移動を考慮したシュミレーションを行い, 製薄膜速度分布, 析出物組成等を説明することに成功し, 薄膜形成の装置設計, 最適条件探索に対して重要な指針を得た. また, 超微粒子合成については, TiO2, SiO2, GeO2等の合成に対して, 主に生成機構に関する考察を行った. 高温合成では, ほとんど衝突凝集機構によって説明できるため, 初期の核発生に影響を与える原料導入方法, 他成分の添加等が重要な因子であり, 低温合成では主として粒子表面反応が重要という結論を得た. 新しいCVD技術に関しては, 流動層を用いたCVD技術として, 炭素, シリコンの粒子表面被覆技術に対する検討がなされた. それぞれの反応系とも, 化学工学的手法により, 反応速度の解析を基にして, 流動層でCVDを行う最適条件の検討をし, 実用技術になり得ることを実証した. 又, 高速製膜の試みとして, 気相で生成する超微粒子を拡散, 熱泳動により, 基板に捕集し, さらに堆積微粒子層をCVDにより緻密化するPPCVD法を提案し, AlN, TiO2膜合成において, 従来の数十倍以上の速度を達成した. さらに, CVDによる多孔質分離膜の膜分離特性の改善にも成功した. これらの結果は互いに持ちより, 討論, 検討を行い, 最終報告にまとめられた.
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