研究課題/領域番号 |
60440015
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林産学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
樋口 隆昌 京都大学, 木材研究所, 教授 (00027153)
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研究分担者 |
梅澤 俊明 京都大学, 木材研究所, 助手 (80151926)
島田 幹夫 京都大学, 木材研究所, 講師 (50027166)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
25,900千円 (直接経費: 25,900千円)
1988年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1987年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1986年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1985年度: 20,000千円 (直接経費: 20,000千円)
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キーワード | リグニン / 白色腐朽菌 / リグニンペルオキシダーゼ / リグニナーゼ / ラッカーゼ / 芳香核開裂 / 側鎖開裂 / 高分子リグニン / リグニン微生物分解 / カチオンラジカル / β-0-4サブストラクチャー |
研究概要 |
リグニンはpーヒドロキシシンナミルアルコール類の脱水素重合によって生じた複雑な芳香族高分子で、種々のエーテル及び炭素ー炭素結合を含むため、微生物による分解機構に関する研究はたちおくれていた。本研究は、リグニン分解菌Phanerochaete chrysosporium及びCoriolus versicolor,及び両菌が分泌する酵素によるリグニンの分解機構を明らかにしたものである。 まず、リグニン側鎖の開裂機構を解明するため、^<18>Oと^<13>Cで標識したβーOー4型リグニンモデル化合物を合成し、これらを基質としてリグニン分解菌による分解について検討した。その結果、従来知られていなかった新しいC_αーC_β開裂反応を見い出した。 更に、βーOー4型化合物を用いて、βーエーテル芳香核の開裂生成物を初めて同定した。そしてこの芳香核開裂は、P.chrysosporiumの分泌するリグニンペルオキシダーゼ(リグニナーゼ)によって触媒されることを初めて証明した。次にこの酵素によるβーOー4型化合物の芳香核開裂直後の化合物としてアリールグリセロールのムコン酸エステルを同定した。このムコン酸エステルとベラトリルアルコールの芳香核開裂生成物に対する、^<18>O_2及びH_2^<18>Oからの^<18>Oの取り込みについて検討することにより、この酵素が芳香核を一電子酸化する反応を初発反応として芳香核が開裂する機構を明らかにした。またこの機構は高分子リグニンのこの酵素による芳香核開裂にも適用された。 一方、C.versicolorのラッカーゼによってもフェノール性リグニンモデル化合物は、側鎖及び芳香核開裂をうけることが示された。 従って、本研究によって、リグニンの微生物及び酵素による完全分解の機構が解明されたと考えられる。
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