研究概要 |
本年度の研究計画に従って研究し以下の成果を得た. 1)核操作胚の組織学的検討:適切な核操作の時期と方法を知るために本研究室で確立した方法で成熟培養した牛卵胞内卵子を体外受精または精子頭部注入を行い, 侵入精子, 注入精子の経時的な変化をホールマウント法および電子顕微鏡(TEM)で検索した. その結果, 体外受精卵子の精子頭部注入卵子における両前核形成過程は精子尾部の有無以外全く同じであった. すなわち, 両卵子内では核膜の近辺に小胞体ガルジー装置, ミトコンドリアなどすべての細胞内小器官の配列なども全く同じで注入操作以外の差は全く認められず, 本注入操作法は極めて再現性のあるものであることが示唆された. 2)遠心処理豚初期胚の発生能:前年度マウス胚で行った研究成果をもとに豚胚について検討を行い以下の成果を得た. PMSG+hCG(400IU+200IU)で処理した未経産豚から未受精, 受精卵子(前核期ー2細胞期)を採取し, 11000g 15000gで3分間遠心処理を行った. 処理卵子の一部は遺伝子注入に技術開発の実験に, 他は遠心処理後の発生能試験に用いた. 豚卵核胞または前核への注入操作は牛卵子より比較的容易であった. 一方, 発生能試験では無処理区で1細胞期から96時間の培養で7ー8細胞期まで発生したのに対し, 処理区ではgが強い区で発生能が低くかった. 11000gto15000gではそれぞは10細胞期, 6細胞期まで発生したが発生率は低かった. 3)操作胚の培養法の検討:操作胚の発生能を改善するために最も培養系の進んでいるマウス胚を用い培養液, 培養期間と発生能と割球数を調べた結果, 発生の早い時期から培養を開始し, 培養時間が長くなればなるほど, 割球数が少なくて胚盤胞を形成することや移植後の発生能も同様に悪くなることが明らかになった.
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