配分額 *注記 |
25,700千円 (直接経費: 25,700千円)
1987年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1986年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
1985年度: 19,000千円 (直接経費: 19,000千円)
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研究概要 |
チログロブリン結合セロトニンを用いてウサギを感作することによって得たセロトニン抗血清を, PAP法またはABC法に適用して免疫組織化学的に, 魚類からサルに至る広範な脊椎動物中枢神経系におけるセロトニンニューロン系の形態と機能的意義を追究した. セロトニンニューロンは中脳下半部から延髄下端に至る脳幹正中域を中心に, 10群の集団を作って分布し, マウスで2.5万, ラットで5万, サルで13.6万個を数える. その最大の集団は背側縫線核で, 約半数がここに集合している. セロトニンニューロンの軸索は網状にはげしく分岐し, 大脳皮質から脊髄末端に至る中枢全域に分布するほか, 脳室内に出て上衣細胞層の上に密な神経叢を形成, さらに脳外表面から進入する血管の壁にも神経叢をつくる. セロトニン線維は, 脳の層的構造に一致した特徴的分布パタンを示し, 分布密度の高いサル視覚領IVC層では1mm^3中に14mの線維が含まれ, またその走行中に作られた結節は140万個を数えた. セロトニン線維は, 外眼筋支配のニューロンをのぞいて, 運動ニューロンにはとくに濃密な分布を示し, しばしば籠状に個々のニューロンを包み込む. セロトニン線維の分布濃度とその様式は, 動物種差に富み, また部位によっては明らかな性差をもつことが特徴的である. 5,6-DHT投与によって変性, 破壊されたセロトニンニューロンの軸索は, 日を追って再生するが, その速度と回復状況は中枢各部で著しく相違し, 可塑性の領域による差異を示唆している. また幼若動物の背側縫線核を含む組織塊は容易に移植生着されるが, セロトニン線維の伸長と再生の強さは, 受容者側の組織特性に著しく依存している. セロトニンニューロンの網状軸索は, 多数のニューロンの活動を同時的に修飾, 調節するのに適しており, そのようなシステムとして中枢内に組み込まれていると考えられる.
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