配分額 *注記 |
30,700千円 (直接経費: 30,700千円)
1987年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1986年度: 7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
1985年度: 18,000千円 (直接経費: 18,000千円)
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研究概要 |
1.軸索内輸送の調節機構, 速い軸索内輸送が膜系オルガネラの移動であることは, 1973年に我々の研究によって確立された. 現在までに速い流れが微小管をレールにすることが明らかになったが, 一方その微小管は遅い流れを形成する. 従って軸索内における微小管の存在形式を明らかにすることは軸索流機構の解明に直結する重要な課題である. 我々は過去3年間の研究を通じて軸索内微小管の存在様式について以下の結論に達した. すなわち軸索内微小管にはふたつの型があり, 第1型は1.8mm/日の速度でニューロフィラメント蛋白質とともに移動し, コルヒチン, 低温にたいして比較的安定じ, タウ因子の量は少ない. 第2型は3.2mm/日の速さで移動し, コルヒチンおよび低温にたいして不安定で, 多量のタウ因子をふくむ. 第1型は重合・脱重合の速度がおそい安定型であり, 第2型は盛んに重合・脱重合をくりかえす動的な型と判断される. 第1型は軸索内チューブリンが重合する際の核になる部分であり, 第2型はこのチューブリンの供給源であろう. 軸索内の微小管伸長(チューブリン移動)は, 以上のシエマによって理解できる. 2.ガングリオシドの軸索内移動はこれまで速い流れとのみ理解されてきたが, 我々は遅い流れの存在をフルオログラフィーによって立証した. また細胞における唯一のシアル基供与体であるCMP-シアル酸が軸索内を移動することを発見し, 軸索末端においてガングリオシドがシアル化される可能性を指摘した. 3.新たに開発したコリンアセチルトランスフェラーゼ(CAT), グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)の超微量定量法により, 純粋にコリン作動性であることが確立されている脊髄前角ニューロン内にGAD活性およびGABAが共存することを発見し, GABAが伝達物質としての役割の他に栄養因子として作用することを示した.
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